職人が辞める理由は金じゃない。辞める理由は〇〇だった!
栃木県那須塩原市で建設会社様向けに、即戦力となる職人を育成する場を提供している職人道場です。
未経験の方や多能工を目指す方に、幅広い業種の人材育成に特化した研修場を提供しています!
職人道場は自社の新人教育制度として求人や会社のホームページなどにも掲載することができます。
現在、日本は建設ラッシュと言われながらも、全国で深刻な人手不足に悩まされています。
せっかく入ってきた新人もすぐに辞めてしまうなど、人材育成に頭を抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。
「なぜ職人は辞めてしまうのか?」
今回は職人道場の説明会でも毎回メインで司会を務める、
弊社取締役の田中に、職人、特に新人の職人が辞める理由について取材を行いました。
■職人が辞める理由は本人のせいではない
インタビュアー(以下、イ):建設業界では本当に頻繁に「新人が続かない」「すぐ辞めてしまう」という声が聞こえますよね。
「ああ、また辞めちゃった」「なんで辞めていくんだろう?」と考えている経営者や人事担当者向けに、今回は、新人が辞める理由を教えてください。
田中:私達自身も左官や防水の会社なので、その状況は数々経験してきました。
しかし今、職人道場という教育者の立場になって過去を振り返ってみると、新人が辞める理由は本人に原因があることのほうが少ないのではないかと思っています。
イ:それはどういうことでしょうか?
田中:どの業界も一緒だと思いますが、まず退職する理由の上位には人間関係が入ってきます。
親方、上司、先輩からのプレッシャーを感じていたり、頑張りがなかなか認めてもらえないなど。
上司や先輩たち、会社が承認欲求を満たしてくれないということも辞めることを考える大きな原因となると思います。そもそも、この業界の人達ってそういう風に育ってきているんです。僕も経験しているからこそわかるのですが、職人の世界ではチームという概念が他の業界と比べて浸透していないのだと思います。
イ:それはなぜなのでしょう?
田中:職人て、どちらかと言うとチームプレーではなく、結局は個人プレーになってくるんです。
自分の技術が評価されて給料が貰えるわけですから、「上司と部下」という関係になりづらいんです。
イ:では新人の職人さんが抱えてしまうプレッシャーというと?
田中:上司や先輩の感情に、新人が巻き込まれてしまうということです。
先輩がその日の調子が悪かったり、上司がイライラしていたりするとそれが部下に向けられてしまいやすいとか。クレームが出たときとかもそうです。
職場って、空気感ひとつで変わりますよね。その空気感を司っているのは上司、先輩たち。その人たちの感情に巻き込まれてしまうんですよね。
イ:逃げ場がないんですね。
田中:なぜなら毎日一緒に現場へ行かなければならないからです。
現場にもよりますが、小さい現場であれば「これやって」「どこまで進んだ?」「いつ終わる」と常にその先輩から指示をもらって動いているので、
そのやり取りにその日の機嫌が加わってしまっては圧力になってしまいます。
しかし少人数で毎日一緒に動いているので、多少慣れてくるとこういった状況に陥りやすかったりします。
新人の職人さんはそれでもうまくやっていかなければならないわけです。
イ:そういった環境で新人さんの溜めこんでいるものがある時溢れ出してしまうのですね。
田中:結局は、そういった要素が積み重なって、徐々に徐々に会社に魅力を感じなくなっていってしまう。
それが「辞めていく理由はお金ではない」ということです。よく賃金が理由だと捉えがちなのですが、よく考えてみるとこの気持ちの変化は理解していただけるんじゃないかと思います。
■職人が辞める理由は給料でもない
イ:新人職人さんが辞める理由はお金じゃないんですね!
田中:逆にそこはいくら満たしてあげても、今言ったような環境になってしまったら辞めてしまうと思います。
どれだけいい給料を払っても、会社に魅力を感じていなかったら辞める。
会社って、そこにいる人がつくるものじゃないですか。それだけ人の魅力って大切なんですよ。
そして魅力を司っているのも上司先輩であり、そのトップが経営者ということになります。
イ:チームであるということ、それが成り立っているというのは大事なことなのですね。
ではこれを読んで「ああ、辞めるってそういうことなんだ!」と気がついた社長や上司はどうしたらいいのでしょうか?
田中:そこで私たちがたどり着いたのが、人材育成のやり方だったんです。
簡単に「教育」とか「人材育成」と言っているように聞こえるかもしれませんが、実はこれって根深いんですよ。
人が入ってきたとしても離職率が高い。新人が辞めていってしまう。
今まではそれでも成立していました。次の人が入ってきていましたから。
しかし、もう少子高齢化で次の職人が入ってこない。
そうすると何が起こるかというと、今いるその人たちというのは、自分たちが新人に投げていた雑用や、例えばやりたくない重労働も、やらなければいけなくなる。
今までは新人がいたから先輩として成り立っていたんだけれども、ここから5年10年すると、新人が入ってこなくなるので成り立たなくなってしまいます。
今40代の先輩たちが10年したら50代でしょう。
それでも「受注単価」というのが変わらないのだとしたら、先輩の生産性はどんどん下がってくる。けれど、単価は変わらないわけです。
会社からすると、利益がどんどん減っていくということです。
なので、しつこいようなのですが「会社の風土」です、問題は。
これを解決していくというのは、企業をやっていく上での永遠のテーマだと僕たちは考えています。
今までみたいに、現場だけ受注して、人を回していれば自動的に人が育っていくというところから、もう時代が明らかに変わったということです。
イ:これからの時代は会社の風土を変えていかなければならないと。
田中:ちゃんと小さい中でも組織づくりをして人材育成をして、そこにはいろんな課題があって、その課題を解決していく。そういった企業家、経営者としての永遠のテーマをやっていくしかないと思っています。
今まではそこにタッチしていなくても成り立っていました。だから単純にそこに目が向かず、やっていなかったということです。
でももう時代が待ったなしのところに来ているので、否応なくやっていかなければなりませんし、そこに答えはないということです。
これだけ情報が溢れている中、働く職人さん、新人さんにも選択肢はいくらでもあるんです。
何をやれば良くなるというのはないし、やってみないと分からない。
だから経営者にも果敢にチャレンジする成長が求められる時代だと、そう感じています。
人口の少ない中からも、選ばれる会社になるために。
(職人道場の卒業時)
■建設業の経営者が抱える人材についての悩み
イ:話を戻すようですが、田中さんはよくご存知だと思うので伺います。建設業の経営者は人材についてどういった悩みを抱えているのでしょうか?
田中:経営者の方は「人が育たない」、「幹部が育たない」、「右腕が育たない」と皆さんおっしゃいます。しかし反面、どこかで成長してほしくないとも思っている。
これは建設業の大きな課題であると考えていますが、人が少ないならなおのこと、「職人に独立されてしまうと会社が困る」というシンプルな話です。
独立しようと思ったら、この業界は特に簡単にできてしまう。
例えば塗装屋さんなら、軽自動車ひとつあれば独立できてしまうんですね。だから会社を離れてほしくない。
イ:経営者の方には耳の痛い話ですね。
しかしですよ?今まで人材育成の話を伺ってきましたが、
例えば!会社や上司のほうからも積極的にいろいろ関わろうとしているんだけれど、なかなか興味を示してくれない、という新人さんも中にはいると思います。そういう人を育てていくにはどうしたら良いのでしょうか?やっぱり話し合うことですか?
田中:結局、本人が決めてピンとこないと行動って起きませんよね。みんな、そこは一緒じゃないですか?
人って面白いんですよね。感情が動いた瞬間じゃないと動かないんです。僕はそう思います。
■みんな職場に求めているのは「自分の居場所」
イ:ではどういうときに感情って動くのでしょうか?
田中:いろんなケースがあると思いますが、例えばその人がどこかでライバルだと思っている人がいたとしますよね。
職人道場でもよく見られる場面です。同じ会社から一緒に来た同期とか。
そのライバルがちょっと成長したときに感情が動いたり。
その逆もあります。ライバルよりちょっと成長できたり。
というので変わっていく人もいるし、できる人から怒られて気が付く人もいれば、尊敬する人から褒められて気が付く人もいますし。
何が正解かわからないというのはそういうことで、一人ひとりに向き合っていくことが何より大切なのではないでしょうか。
田中:やる気って、奪ってしまうのは簡単です。その人の居場所とか、やりがいが無くなった瞬間。
働く人たちが、みんな会社に何を求めているかというと、居場所なんだと思います。
居場所がないとやりがいも感じられないし、未来が見えなくなるでしょう?
居場所というのは、自分が承認されている、認められている、必要とされていると思うからつくられていくわけじゃないですか。
だから自分を認めてくれている人が、今会社に何人いるのか?というところかもしれません。
「認めてるよ」と言うのは簡単だけれど、本当に認めていたら本人にもわかります。
イ:はい、その通りだと思います。
田中:こうすれば変わる、という単純なものではないけれど、少なくとも「自分が相手だったらどう思うか」と考えることは大事ですよね。
今、自分たちが彼に何を求めているのだろうかということ。
イ:自分の環境を振り返ってみても、確かに社内でもっとできることがあるよな…と。痛感します。
「相手の立場に立つ」って、どうしてこんなに簡単なことがわからなくなってしまうんでしょうね。
田中:それは「当事者」だからではないでしょうか。
■入社4年目の左官職人に聞いた「働き続ける理由」
職人道場の道入企業、4年目になる31歳の職人さんに、ここで働き続ける理由を聞きました。
ー職人を目指したワケー
18歳のときに技能五輪という大会を見て、左官のブースで自分と同じくらいの年齢の職人さんがやっている姿を見て面白そうだと感じました。もともとアパレルの仕事や、築地の市場での仕事などを経験し、次に転職するなら左官の仕事をやろうと決めていたんです。
ー未経験から始めた最初の一年ー
最初の一年半はまだ職人道場が確立する前で、一年半ほどは手元作業でした。材料を練ったり、下地作業ばかりです。やっぱり楽しくなかったし、また今日も同じことの繰り返しだってモチベーションは上がらなかったです。
それでも続けたのは一度やると決めたから、どんなに嫌なことがあっても1年は続けようと思って入社したからです。
ー嫌な先輩を好きになれなかったー
入社して4ヶ月目で当時の先輩と違う班にしてもらったことがありました。どうしても人柄が好きになれなくて、機嫌をすぐ顔に出すし嫌味っぽい言い方をしてきたり、仕事で一緒に過ごしていて心地よさは感じませんでしたね。その後しばらくして班をシャッフルすることになって。そのときにまた同じ班になったんです。これはもう何かの縁だなと思って付き合っていく覚悟を決めました。
その先輩というのが今の会社の社長で、独立前から一緒だったんです。今でも働いているのは社長も色々な道を通ってきて徐々に人間性が変わって、一人ひとりの社員に本気で向かって来てくれるようになって。お互いの良いところ悪いところを全部曝け出しました。それから本当の人間関係ができましたね。皆で同じ方向を向いている感じがします。
これは割と最近あった大きな変化です。
ー役員の何気ない気遣いに驚かされたー
なので当時先輩との人間関係が上手くいっていなかった時っていうのは、心の助けになっていたのは役職についている人たちとの距離感ですね。役員の人たちって僕たち現場の職人とは距離が遠いのかなって思ってたんですけど入社後にびっくりしたのはみんなとてもフランクで。「最近どう?」って声を掛けてくれるんです。
それの何が嬉しいのかっていうと、今躓いてるところをよく見てくれていて、気付いて話しかけてくれる。それに、まともに喋ったことのない役員の人も僕の名前や、前にポロッと言った一言を覚えててくれて、「あ、ちゃんと見てくれている」って感じました。そういうのが「もうちょっと頑張ってみようかな」という翌日のやる気につながっていきましたね。
ー職人がやめない会社には何が必要だと思いますか?ー
僕は色んな変化に気付いてあげることだと思います。「今こんなことに悩んでるのかな」とか、気がついたら放っておかずに手を差し伸べてあげることでしょうか。自分がそうしてもらって続けて来ることができたので。
ーありがとうございましたー
いかがでしたでしょうか。
入ってきた新人の一人ひとりを先輩や上司が認め、居場所ややりがいを生み出せるような会社の風土づくりがこれからの経営者には求められます。
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職人道場では考え抜かれたカリキュラムによって、新人の職人も段違いのスピードで成長していきます。
新人が即戦力になることで、先輩が手を止めて指示を出さずとも、次の工程を自ら考えられるようになります。
先輩と新人の人間関係がスムーズになることでやる気ややりがいに直結し、新人の定着率も向上します。
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