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建設職人が現場を去る本当の理由

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🟧第1章:若手職人が3ヶ月で辞めるのは、やる気がないからじゃない

ある日突然、若手の職人が「すみません、今日で辞めさせてください」と現場で頭を下げてきた。
何の前触れもなく、あんなに元気に働いていた若手が、まるで壊れたように。理由を聞いても「家庭の都合で…」とか「向いてないかもしれなくて…」と、あいまいな言葉しか返ってこない。
だけど本当は、そんな表面的な理由ではないと、現場を預かるあなたは薄々気づいているはずだ。

建設業において「若手が3ヶ月で辞める」というのは、もはや“よくある話”になってしまった。
だが、それを“仕方ない”で片づけてしまうことが、どれほど業界にとって危険なことか。

◆やる気がないわけではない。やり切れないのだ

現場の職人たちは、「最近の若いのは根性がない」「すぐ辞める」と口をそろえる。
だが、本当に彼らはやる気がないのだろうか?

違う。
彼らは「やってみたい」という気持ちを持って現場に入ってきている。
「手に職をつけたい」「現場で活躍したい」「親方みたいになりたい」──最初はそんな希望を抱いている。
問題は、その気持ちが現場で打ち砕かれてしまうことにある。

たとえば、明確な仕事の目的がわからないまま、材料を運び続けるだけの日々。
質問しても「見て覚えろ」と言われるだけで、何が正解かわからない。
工具の名前も、資材の扱い方も、声をかける相手すら間違えば叱責される。
そんな日々が数週間も続けば、どんなにやる気があっても「自分には無理かもしれない」と感じるのは自然なことだ。

彼らは「やりたくない」のではない。
「やれる気がしない」のだ。

◆“3ヶ月”という数字の意味

実は、若手職人が辞めるのは「最初の3ヶ月」が圧倒的に多い。
この数字には明確な意味がある。

それは、「自分が成長できているかどうか」が実感できない期間が、ちょうどこのタイミングだからだ。

人は、ある程度の“見通し”が持てれば耐えられる。
「今はきついけど、半年後にはこれができるようになる」といったイメージを持てれば、頑張れる。
だが、多くの建設現場では、育成の仕組みが存在せず、どこまでが成長で、何が評価されているかもわからない。
結果、「このままずっと雑用だけやらされるんじゃないか」という不安が、心を押しつぶしていく。

3ヶ月というのは、その限界ラインなのだ。

◆「自分に合ってなかった」という幻想

多くの若手が辞めるとき、こう言う。

「自分には向いてなかったみたいです」

だがこれは、本音ではない。
本当のところは、「教えてくれる人がいなかった」「何が正解か誰も教えてくれなかった」「評価される機会がなかった」──
つまり、“自分を活かしてくれる環境がなかった”のだ。

もし、毎日の作業に小さな目標があり、「今日はこれができたね」と一言フィードバックしてくれる親方がいたら。
もし、最初の3ヶ月だけでも寄り添ってくれる教育担当がいたら。
「向いてなかった」なんて言わず、彼らは職人としての道を歩き続けていたかもしれない。

◆責任は若者ではなく、現場の“仕組み”にある

ここで厳しい現実を直視しよう。
若者が続かないのは、彼らのせいではない。
責任は、受け入れる側、すなわち“我々”にあるのだ。

職人が育つためには、技術だけではなく、「育つための段階的なステップ」と「見守る仕組み」が必要だ。
ところが現場にはそれがなく、「とりあえず現場に放り込んでおけばなんとかなる」という時代錯誤の文化が残っている。
これでは、若手が育たないどころか、入ってもすぐ辞めるのは当然だ。

◆職人道場がつくる“やめない若手”の現場

職人道場では、若手職人が「やれるかもしれない」と感じられるように、“達成感”と“成長実感”を意図的に作っている。
段階的に組まれた20日間の実技カリキュラムでは、「今日の目標」「できたこと」「明日の課題」が明確になる。
つまり、若手が「俺はちゃんと進んでる」と感じられるのだ。

現場に戻ったときには、既に一定の技術と自信を持っている。
だからこそ、最初の3ヶ月を“乗り切る”ではなく、“楽しむ”という感覚で過ごすことができる。
そしてその感覚こそが、「やめない職人」をつくる最大の鍵になる。

🔚まとめ

「やる気がない」のではなく、「やれる気がしない」──
それが、若手が現場を去る一番の理由だ。
変えるべきは若者ではない。
“育つ仕組み”を持たない現場のほうなのだ。

その第一歩が、教育の再設計であり、職人道場のような“育成の土台”の活用だ。
3ヶ月で辞める若者を、「続けられる職人」へと変えることは、現場の未来を変えることでもある。

🟧第2章:職人の退職理由は「給料が安い」だけでは片付けられない

「職人が辞めるのは給料が安いからだろ?」
そう思っている経営者は少なくない。確かに、収入は退職理由の一つかもしれない。
しかし、それはあくまで“表面的な理由”に過ぎない。

実際に現場を離れた職人たちに話を聞くと、多くがこう口を揃える。
「お金もあるけど…なんか、続ける意味が見えなくて」
「将来が想像できなかったんです」
「現場にいても、自分が成長している気がしなかった」

つまり、「給料の低さ」はきっかけではあっても、最後の一押しではない。
本当に彼らの心を折るのは、“未来が見えない環境”なのだ。

◆給料以上に重要なのは「居場所」

たとえば、職人歴3年目のある若者はこう語った。
「一人親方の下で働いていたけど、給料はそこそこもらえてた。でも、毎日怒鳴られて、何が正解かもわからず、ずっと緊張しっぱなしで…。給料よりも“ここにいていい”と思える空気が欲しかった」

人は、どれだけ報酬が良くても、「自分の居場所がない」と感じたらそこにいられない。
逆に、収入が少し低くても、「ここで頑張れば認めてもらえる」と思える職場は、継続率がぐっと上がる。

若手にとって、現場は“戦場”であると同時に、“学校”でもある。
学べる環境、尊重される空気、悩んでも大丈夫な関係性。
これらがなければ、どんなに金を積んでも、若手は育たないし、定着もしない。

◆「お金じゃないよ」と口にする理由

現場で若手が辞めるとき、経営者がよく耳にするのが
「お金じゃないんです」という一言。
これは、本当にそう思っているわけではなく、「お金のことを言いにくい」だけではない。

むしろ彼らが本当に言いたいのはこうだ。
「仕事がつらいときに相談できる人がいなかった」
「頑張っても評価されてるかわからなかった」
「将来、どう成長していけるのかが見えなかった」

だが、そうした“気持ちの問題”を言葉にするのは難しい。
だから彼らは「お金じゃないんです」と言葉を濁して、黙って現場を離れていく。

◆「将来像」がない職場は離職リスクが高い

人は、自分の未来をイメージできない場所には、長くいられない。
「今ここで何を積み上げれば、数年後にはどうなっているのか」
この“道筋”がまったく描けない職場は、不安しか生まない。

建設現場においてもそれは同じだ。
ただでさえ、身体を使う仕事である。将来どこまで働けるのか、そもそもベテランになっても待遇は良くなるのか。
そういったビジョンがまったく提示されないと、若手は「今ここで踏ん張っても、意味あるの?」と感じてしまう。

給料が安いという理由の裏には、こうした「将来への不安」が根強く存在している。

◆“評価のない現場”が職人のやる気を奪う

職人の世界には、よく「黙って覚えろ」「できて当たり前」という文化がある。
だが、それでは若手は育たない。

人は、努力が認められることでやる気を出す。
「昨日より今日は上達してる」
「先週よりできることが増えてる」
その小さな変化に気づき、声をかけてもらうだけで、人は続ける力を持てる。

だが、現場で声をかける時間も気力もない今の職場環境では、それができていないのが現実だ。

そして、「頑張っても誰も見てくれてない」と感じた若者から、現場を去っていく。

◆職人道場が提示する“未来の地図”

職人道場では、「20日で即戦力に育てる」という明確なゴールを掲げている。
その中で「今どのステージにいるのか」「次に何を目指せばいいのか」が可視化される。

これによって、若手は「成長の道筋」を持つことができる。
さらに、職人としての誇りや、将来どう活躍できるのかというイメージまで持てるようになる。
これは単なる“技術研修”ではなく、“職人として生きる意味”を見つける教育なのだ。

その結果、給料だけに左右されず、「ここでならやっていける」と思える職人が育つ。

🔚まとめ

職人が辞めるのは、給料が安いから──
それは一部事実かもしれない。
だが本質は、“自分の価値が見えない職場”にこそある。

お金以上に求められているのは、
成長実感・将来の見通し・評価される関係性。
それらが揃ったとき、初めて“職人として生きる覚悟”が芽生える。

🟧第3章:先輩の叱り方が昭和のままだと、新人は潰れる

「何度言ったらわかるんだ!」「そんなもん、自分で考えろ!」

現場の空気を張り詰める怒号。
かつては当たり前だったこの光景が、今は若手職人の心を静かに壊していく。
昭和の時代、いや平成初期までは、「厳しさ」が美徳であり、「叱って伸ばす」が当たり前だった。
しかし、時代は変わった。

令和の若者たちは、その“昭和の叱り方”ではもう育たない。
いや、正確に言えば、“潰れてしまう”のだ。

◆叱ることで伸びたのは「前提」があったから

「自分たちの頃はもっと厳しかった。それでも辞めなかった」
そう語るベテラン職人も多い。確かにその通りだ。
だが、当時は周囲に“助け船”があったことを忘れてはいけない。

厳しく叱る一方で、飯に連れて行ってくれる親方。
口は悪くても手取り足取り教えてくれる先輩。
理不尽に見えて、実は根底に“面倒を見る文化”があった。

今の現場には、その“補完関係”がほとんど消えている。
叱るだけ叱って、その後にフォローする人間がいない。
それでは、ただの“暴力”に近い行為でしかない。

◆「萎縮する若手」は、悪くない

「最近の若いやつは、叱っただけで落ち込む」
「プライドだけは高いくせに、打たれ弱い」

そう嘆く声もある。
しかし、これは若手が悪いわけではない。
彼らは“正解がわからない中で叱られ続ける”というストレスに耐えきれないだけだ。

たとえば、配管作業の現場で「違う!やり直し!」と怒鳴られる。
でも、どこがどう違うのかは教えてくれない。
「見て覚えろ」の一言で片づけられる。
その瞬間、若手の心にはこう刻まれる。
「聞いても意味がない」「どうせまた怒られる」「もう黙ってやめよう」

これでは、やる気のある若者ほど、心を病んで辞めていくのは当然の帰結だ。

◆叱ることで得られる“教育効果”はゼロに等しい

叱ることが悪いのではない。
問題は、「叱るだけ」で終わっていることだ。

叱るとは、行動を正すための手段であるべきだ。
なのに、「叱る=感情のはけ口」になってしまっている現場が少なくない。
これでは、教育の本質から完全に外れてしまう。

実際、心理学の観点でも、「否定され続けた記憶は成長意欲を下げる」とされている。
人は、行動の“理由”や“背景”を理解して初めて、改善の意欲が湧くのだ。

◆令和型の職人教育とは「共感+技術」

今、求められるのは「叱る教育」ではなく、「伝わる教育」だ。

まず共感する──「わかりにくかったよな」「最初はみんなミスするよ」
その上で明確に伝える──「でも、ここをこう直せばもっと良くなる」

この順番が大切だ。
怒鳴るのではなく、伝える。
恐怖ではなく、納得によって行動を変える。
それが令和時代の職人教育であり、“やめない職人”を育てる鍵となる。

◆職人道場で徹底される“叱らない育成”

職人道場では、「否定しない指導」をベースにカリキュラムが構成されている。
間違ったら即座に怒鳴るのではなく、なぜその間違いが起きたのかを一緒に確認する。
さらに、ミスを責めるのではなく、「改善できるチャンス」として捉えさせる。

例えば、墨出し作業でミスをした若手に対して、
「ここが違っていたね。でもどうして間違えたと思う?」
「ここにレベルを取る時の基準が書いてあったよ。見逃してたかな?」

こんな会話を通じて、本人に気づかせ、自分で正せる力を養っていく。
その結果、ただ「言われたことをやる人間」ではなく、「考えて動ける職人」が育つのだ。

🔚まとめ

「叱る」ことが教育だった時代は終わった。
今の若手に必要なのは、“恐怖”ではなく“納得”。

叱っても人は育たない。
むしろ、潰れる。
だからこそ、現場には「伝える力」と「共感する姿勢」が求められる。

未来の職人を育てるために、今、我々が変わるときなのだ。

🟧第4章:親方の背中を見て育つ時代は、もう終わった

「昔は、誰も教えてくれなかった。全部、親方の背中を見て覚えたもんだ」
そう語るベテラン職人の言葉には、誇りと自負が滲んでいる。
その背中は、確かに現場のすべてを物語っていた。
技術、段取り、礼儀、責任──何もかもを無言のうちに示していたのだ。

だが、時代は変わった。
そして残念ながら、いまの若者にとってその“背中”は、学びの対象ではなく、“壁”になってしまっている。

◆「察して学べ」は、今の若者にとっては“無理ゲー”

昔の現場には、阿吽の呼吸があった。
言葉がなくても意図が伝わり、役割を察して動く文化があった。

しかし、いまの若者は違う。
学校教育では明確なゴールが与えられ、親も社会も「失敗しないように育てる」方針が一般的だ。
そんな彼らに「空気を読め」「見て覚えろ」は通用しない。

彼らは、「これをやっておけばいい」「これはやっちゃいけない」といった、明確な“ルール”が必要なのだ。
「親方の動きを見て盗め」というメッセージは、今では“無言のプレッシャー”にしかならない。

◆背中は見えても、意味はわからない

たとえば、親方が一人で段取りをして、材料の手配、工程の調整を次々とこなしていく。
若手からすれば、それは“ただ忙しそうな人”にしか見えない。

なぜ今これをやっているのか、どこがポイントなのか、
どう判断して優先順位を決めているのか──その“なぜ”を説明されなければ、学びにはつながらない。

つまり、「背中」は確かに動いている。
でも、「言葉」がなければ、若手にとってはただの“無音動画”なのだ。

◆黙っていては、技術も価値も継承できない

職人の世界は「伝統」と「技術」が命だ。
しかし、それらが“伝わらない”ならば、どれだけ素晴らしい技術もやがて消えていく。

今の若手は、教えれば吸収する力を持っている。
だが、そのためには「言語化された知識」「見える形の評価」「段階的な指導」が必要不可欠だ。

「感じろ」「察しろ」では、何も伝わらない。
むしろ、優れた親方ほど、その“無言の技術”を「言葉で教える」努力が求められている時代なのだ。

◆なぜ現場は“教えられない構造”になってしまったのか

実は、多くの親方や先輩職人は、「教えたくない」のではなく、「教える余裕がない」だけだ。
人手不足で自分の仕事すら手一杯。
ミスをカバーし続ける日々の中で、「教える」という行為にかける時間も心のゆとりも奪われている。

結果、無言のうちに「背中を見て覚えろ」というスタイルに戻ってしまう。
だが、それでは若手は育たない。
むしろ、離れていくだけなのだ。

◆職人道場が実現する「言語化された職人教育」

職人道場では、すべての技術を“言語化”して教えている。
「このコテの角度はなぜこの角度なのか」
「この工程での判断ポイントはどこか」
「この失敗はなぜ起こるのか」

言葉にして説明し、理解させ、実際にやらせ、また確認する。
そうすることで、「やってみる」→「できる」→「自信になる」→「現場に立てる」
という流れが生まれる。

このプロセスこそが、“背中”だけでは作れなかった人材を育てる、現代の職人教育だ。

🔚まとめ

かつては、“背中”がすべてを語った。
だが、いまは“言葉”がなければ、何も伝わらない。

時代が変わったなら、教え方も変えなければならない。
それは、「技術を絶やさない」ための、現代職人に課された使命でもある。

そしてそれを実現できる場所が、職人道場なのだ。

🟧第5章:建設職人が「一人親方」に逃げる真の理由

「もう、これ以上組織にはいられません…」
そう言い残して、職人が現場から去っていく。
その後、何をしているのかと聞けば、決まってこう返ってくる。
「一人親方としてやってます」──

確かに、今の建設業界において“一人親方”という道は一定の自由と裁量をもたらす。
だが、その裏側には、「逃げ場」としての一人親方という、深い構造的な問題が横たわっている。

なぜ職人たちは、組織を離れ、孤独な道を選ぶのか?
その理由を見誤れば、現場から人は減り続け、組織は崩れていく。

◆一人親方という「逃げ場」

一人親方になる理由は人それぞれだ。
「自由に働きたい」「収入を増やしたい」「人間関係が面倒になった」──
だが、その本音を深掘りしていくと、多くの共通点が見えてくる。

・指導も評価もされない環境に疲れた
・頑張っても昇給や昇格の見通しが立たない
・現場での人間関係がストレスでしかなかった
・責任ばかり重くなって、報われなかった

つまり、組織内での“閉塞感”が、彼らを一人親方に向かわせているのだ。

一人親方は、確かに気楽だ。自分の裁量で現場を選び、収入も自分の力量次第。
だが、それは裏を返せば、“誰も守ってくれない世界”でもある。

◆組織の中で報われない「中堅職人」の苦悩

特に問題なのが、3年~10年ほど経験を積んだ中堅層の職人が、一人親方になるケースだ。
彼らは、技術もあり、現場もよく知っている。だが、それを“評価”してくれる組織がない。
新人の面倒は見させられ、現場の責任も任される。
でも、給料は変わらず、感謝もされない──

こうなると、「だったら独立した方がマシだ」という心理が働く。
そして、その意思決定は、驚くほどあっさりと下される。
なぜなら、彼らにとって「ここにいても未来がない」という現実が、何よりの後押しになるからだ。

◆「自由」の代償

一人親方は確かに自由だ。
ただしその自由は、“守ってくれるものが何もない”という代償と隣り合わせでもある。

・怪我をしても誰も補償してくれない
・病気で働けなくなれば、即収入ゼロ
・仕事がなければ、自己責任で探すしかない
・老後の保証もなければ、教育の支援もない

若いうちは「好きにやれて最高」と感じるかもしれない。
だが歳を重ねるごとに、その自由が“孤独”に変わっていくのが、一人親方の宿命だ。

◆企業が「組織に留まりたい」と思わせるには

では、企業に所属し続けることの価値とは何か?
それは、**“安心”と“成長の道筋”**である。

・頑張りが正しく評価される
・技術が段階的にレベルアップしていく
・将来のキャリアが描ける
・自分を見てくれる先輩・上司がいる
・何かあったとき、守ってくれる会社がある

こうした要素が整っていれば、職人は「組織の一員でいたい」と感じる。
逆に言えば、それが整っていない限り、どんなに給与が良くても、職人は離れていくのだ。

◆職人道場が築く“組織に残る職人”の仕組み

職人道場では、若手〜中堅の職人が「この会社で成長できる」と感じられるよう、育成と評価の“見える化”を徹底している。

たとえば、スキルの習得に合わせてバッジ制度や評価レポートを導入し、
「今どこにいて、次は何を学ぶのか」がはっきりわかる。
講師はただ技術を教えるだけでなく、「この先どうなりたいか」というキャリア相談も行う。
結果、職人は“自分の未来を肯定してくれる場所”として、道場を、そして企業を信頼するようになる。

それが、離職を防ぎ、一人親方を“選ばせない”組織づくりにつながっていくのだ。

🔚まとめ

一人親方は、確かに自由だ。
だが、それが「逃げ場」であるうちは、業界の未来は危うい。

組織に人を残すには、報酬だけでなく、“認められる実感”と“守られる安心”が必要だ。
それがない限り、職人は背中を向け、孤独な道を選び続ける。

変えるべきは、職人ではない。
組織の“在り方”なのだ。

🟧第6章:現場はギリギリ、だけどお客様に価格転嫁できない

「人が足りない」「材料費も上がった」「納期も短い」
──それでも、見積金額は据え置き。
「高いと言われたら断られるから」と、値上げの提案すらできずにいる。
そんな状態で引き受けた工事は、現場も職人もギリギリの綱渡り。

誰かが倒れたら終わる。
トラブルが起きれば赤字確定。
それでも工事は止められない──これが、いまの建設業界のリアルだ。

だが、この“価格転嫁できない構造”こそが、職人の離職を加速させ、現場を崩壊へと向かわせている大きな原因なのだ。

◆職人が「消耗品」になってしまう現実

現在、多くの現場では“利益より納期”が優先される。
そして、限られた予算の中で工程をこなすために、犠牲になるのはいつも職人たちだ。

・人手が足りないから、ベテランが休めない
・若手が育っていないのに、即戦力として扱われる
・新人の教育に時間を割けない
・労働時間が増えても、残業代は出せない

つまり、「人を育てる」「人を守る」という基本的な営みが、価格転嫁できない状況によって完全に奪われてしまっているのだ。

これでは、職人が「続けたい」と思えるはずもない。

◆“安さ”が自らの首を絞めている

「うちは安くて丁寧な仕事をする」──
一見すると、それは“誇りある姿勢”にも見える。
だが、その言葉の裏に「人件費を削って、限界ギリギリでやっている」という現実があるとしたら、それは美談ではない。

むしろ、その“安さ”は職人の疲弊と離職を生み出す構造に直結している。
長時間労働、十分な教育時間の不足、休暇の少なさ、報われない評価制度。
すべてが“価格を上げられない”という前提から派生しているのだ。

しかも、元請けや施主からは「もっと安く」「もっと早く」が当然のように要求される。
現場の努力は見えず、評価もされない。
職人たちが、心をすり減らして当然の構造がそこにある。

◆なぜ値上げの話ができないのか?

多くの経営者は、「この価格じゃないと仕事が取れない」と口を揃える。
「うちより安いところがいる」「相見積もりで落とされる」
──だから値上げはできない。

だが、それは本当に“お客様のせい”なのだろうか?
実は、お客様の多くは「ちゃんと説明されれば、納得する」ことが多い。
「人手不足」「材料費高騰」「技術者育成の重要性」──こういった背景をしっかり説明すれば、理解されるケースは少なくない。

それでも言えないのは、「価格に見合うだけの価値を自分たちが提供できていないのではないか」という、内なる自信のなさが影響しているのだ。

◆「安くて良い仕事」はもう限界

今の建設業界は、技術者の高齢化が進み、若手は育たず、現場は疲弊している。
そんな中で「今までと同じ価格・同じ納期・同じ品質」を維持し続けるのは、もはや幻想だ。

現実的には、「人を育てるために必要なコスト」や「品質を保つための時間」を、価格にしっかりと反映させる必要がある。
そうしなければ、“技術も職人も消えていく”未来が待っている。

◆職人道場で実現する“価格に見合う価値”

職人道場では、20日間の集中教育を通じて、「即戦力としての人材」を育てている。
これにより、企業側は「教育コスト」を削減できるだけでなく、
「新人でも現場で戦力になる」という強みを持って、価格交渉ができるようになる。

さらに、職人教育に投資していること自体が、「質の高い施工を支える努力」として、企業価値の向上にもつながる。
顧客への説明材料にもなり、「うちは職人を大切にしています」というブランディングも可能になるのだ。

価格交渉の“武器”を持たずに、「仕方なく安く受ける」から脱却するには、
教育という裏付けが必要不可欠なのである。

🔚まとめ

現場がギリギリなのに、価格は据え置き──
この構造が続く限り、職人は育たず、現場は崩壊する。

「安くて良い仕事」の時代は終わった。
これからは、「価値ある仕事には、正当な対価を」
そう堂々と語れる企業だけが、職人もお客様も守れる時代になる。

価格交渉の裏付けは、“人材育成”にある。
それを武器にできるか否かが、これからの建設業経営の分水嶺なのだ。

🟧第7章:実は“技術の伝承”よりも大事な新人定着の条件

「職人の世界は技術が命だ」──
誰もがそう信じて疑わない。確かに、建設業は“手に職”の業界である。
一流の技術がなければ、誇れる仕事はできない。
だが、今、業界が直面している最大の問題は、「技術があるのに伝承できない」ではない。
もっと根本的に、「技術を受け取る人材が定着しない」ことにある。

新人が続かない。
数ヶ月で辞めてしまう。
そして、教える側は「またか…」と疲弊していく。
──この負のループが、技術伝承の“土台”を失わせている。

今こそ考え直すべきなのは、“技術の教え方”ではなく、“人が残る仕組み”だ。

◆どれだけ技術を教えても、人が辞めては意味がない

職人が後輩に技術を伝えようとするとき、ほとんどの現場では“経験に頼った指導”が中心になる。
「見て覚えろ」「何度もやればわかる」「失敗して覚えるしかない」──
その言葉の裏には、「俺たちもそうやってきた」という強烈な自己肯定がある。

だが、どれだけ技術が素晴らしくても、それを伝える相手が辞めてしまっては何の意味もない。
“技術の中身”よりも、“人を辞めさせない空気”を作ること。
これこそが、技術伝承の前提であり、最優先事項なのだ。

◆新人が辞める理由は“技術”ではなく“環境”

技術が難しいから辞める──そう考えている現場も多い。
しかし、実際に辞めた若者たちに理由を尋ねると、こうした答えが多い。

・「怒鳴られてばかりで、何が正しいかわからなかった」
・「自分の成長が実感できなかった」
・「聞ける人がいなかった」
・「誰も認めてくれなかった」

──つまり、問題は“教える技術”ではなく、“受け入れる環境”にある。

いくら技術が魅力的でも、「ここにいたくない」と思われたら続かない。
どれだけ腕を振るっても、「見て覚えろ」とだけ言われたら自信をなくす。
「教わっていないのに叱られる」──そんな理不尽を前にして、残ろうと思える新人はいない。

◆「あなたをちゃんと見ている」が伝わるだけで人は残る

人は、誰かに“ちゃんと見られている”と感じたときに、自分の価値を実感できる。
「今日はこれができたな」「あのときの判断、良かったよ」──
たったそれだけで、心は救われる。

逆に、「誰にも見られていない」「何も評価されていない」と感じるとき、
人は圧倒的な孤独を感じてしまう。

新人定着のカギは、“言葉にすること”だ。
・「できるようになったな」
・「この前よりもずいぶん良くなった」
・「お前の段取り、すごく助かってるよ」

こうした声かけが、技術を教える以上に“人を残す力”になる。

◆「教育は余裕があるときにやるもの」ではない

多くの経営者や親方が、「今は忙しくて教える余裕がない」と口にする。
だが、それではいつまでたっても育たないし、残らない。
なぜなら、現場に“余裕がある時期”など、永遠に来ないからだ。

教育とは、“余裕のあるときにするもの”ではなく、“優先順位を上げるべき仕事”である。
むしろ、人が育てば、現場に“余裕が生まれる”。
この順序を逆に考えてしまうと、永遠に育成は後回しになり、定着率は改善しない。

◆職人道場で実現する“定着する教育”

職人道場では、技術を教える前に“受け入れられている実感”を持たせることを第一にしている。
たとえば、毎日、講師が個別に声をかけ、目標と振り返りを共有する。
「昨日より少しうまくなったね」「ここは直せばもっと良くなるよ」と、
“ちゃんと見てもらえている”安心感を持たせることで、学ぶ意欲が高まる。

その上で、段階的な技術指導と、成功体験の積み重ね。
「やれそう」「もう少し頑張れる」──
そう感じられる環境が、定着を生み出す最大の力となるのだ。

🔚まとめ

“技術を伝える”ことは大切だ。
だが、“人が定着する環境”がなければ、伝承は空中分解してしまう。

技術より先に育てるべきは、“安心して学べる空気”と“ちゃんと見てもらえている実感”。
それがあって初めて、職人は育ち、現場は回り、未来がつながっていく。

そしてその土台をつくることこそが、今の建設業に求められている“最優先の技術”なのだ。

🟧第8章:育成が追いつかない構造的な問題

「育てなきゃいけないのはわかってる。でも、教えてる時間がないんだよ…」
──これは、現場の誰もが感じている切実な声だ。
現場の高齢化が進み、ベテラン職人が第一線で踏ん張り続ける一方で、若手の離職が後を絶たない。
人が足りないから採用する。しかし、育てる暇がない。
育たないまま即戦力扱いされ、プレッシャーに押し潰されて辞めていく。

この悪循環は、もはや“個人の努力”や“根性”でどうにかなるレベルではない。
育成が追いつかない──それは現場の“気合い不足”ではなく、構造の問題なのだ。

◆「人手不足」と「即戦力信仰」が現場を壊す

建設業の現場では、常に“工程が第一”。
納期は動かせない。現場は止められない。
この過酷な状況の中で、新人職人が現場に入ってくる。

だが、問題はここにある。
新人に本来必要なのは、“見習い期間”という“安全地帯”だ。
少しずつ仕事に慣れ、失敗しながら技術を身につけ、やがて自信を持って一人前になっていく。
──それが、本来の“育成の流れ”であるはずだ。

しかし、今の現場にはそれがない。
新人であろうが、とりあえず現場に“放り込まれる”。
そして、期待されたほどの動きができなければ、「使えない」「やる気がない」と判断されてしまう。

この“即戦力信仰”こそが、育成を追いつかせない最大の構造的病だ。

◆「余裕がないから教えられない」現場のジレンマ

職人が不足している。現場が詰まっている。
そんな中で、誰かが新人に時間を割けば、その分、誰かがカバーしなければならない。

・手が止まる=工期が遅れる
・教える時間=利益の損失
・教育担当=現場の生産性ダウン

この“三重苦”の中で、「誰かが新人を見なければならない」という当たり前のことが、異常なほどに難しくなっている。
そして、結果的に誰も教えられず、誰も育たず、誰も残らない──。

それでも現場は回し続けなければならない。
このジレンマが、現場の精神的・構造的な余裕を根こそぎ奪っていく。

◆「育成システムの不在」が会社を衰退させる

問題なのは、「教える人がいない」ことだけではない。
もっと根本的に、「育てる仕組み自体が存在していない」ことにある。

製造業やIT業界では、明確な教育フローやマニュアル、トレーナー制度が存在する。
だが、建設業界では、長らく「現場で勝手に育つ」が常識だった。
そこには“仕組み”という概念がそもそもなかったのだ。

この遅れが、いま全体の生産性と組織力を著しく低下させている。
人が入っても育たない。
育たないから辞める。
辞めるから、また人手不足になる──
すべては、“仕組みの不在”が引き起こしている。

◆育成コストは「投資」であって「負担」ではない

現場の多くが、「新人教育=コスト」と考えている。
確かに、短期的に見れば“教える人材の時間”や“手が止まることによる損失”は存在する。

だが、それは“負担”ではなく“未来への投資”だ。
教えることで定着率が上がる。
戦力になるまでの期間が短縮される。
職人が育てば、現場の生産性が上がる。

これらはすべて、時間をかけてでも“回収できる利益”である。
問題は、「その意識を持てるかどうか」なのだ。

◆職人道場が補う“育成の構造的穴”

職人道場は、現場における“育成リソース不足”を補う存在として機能する。
20日間で新人に「即戦力レベルのベース」を叩き込み、現場に戻った瞬間から動ける状態にして送り出す。

・材料の名前も知らなかった若者が、適切な工具を選べるようになる
・声をかけられず黙っていた新人が、チーム内で指示を聞いて動けるようになる
・「向いてないかも」と迷っていた若手が、「ここでもっと頑張ってみたい」と感じるようになる

現場に“仕組み”がなければ、外部に“育成の装置”を置けばいい。
それが、今の建設業界にとっての唯一の突破口なのかもしれない。

🔚まとめ

育成が追いつかないのは、忙しさのせいじゃない。
──構造のせいだ。

仕組みの不在。即戦力信仰。育成を“負担”と捉える風潮。
こうした業界全体の構造が、若手を辞めさせ、現場を空洞化させている。

だからこそ、今必要なのは、気合や根性ではなく、“仕組みの改革”だ。
そしてその第一歩が、「育てられる場」を持つことなのだ。

🟧第9章:「人がいないから断る」が言えない建設業界

「ごめんなさい、今ちょっと手が足りなくて…」
──そう言えれば、どれだけ現場は救われただろうか。
だが、建設業界では、それが“許されない空気”に支配されている。

仕事が来たら、無理でも受ける。
納期が厳しくても、「なんとかします」と言う。
人が足りなくても、他の現場からかき集めてでも回す。
──そして、現場は崩れ、職人は潰れる。

この「断れない構造」こそが、職人離職の温床であり、業界全体の首を締めている元凶なのだ。

◆断ったら「次がない」という恐怖

なぜ断れないのか?
答えはシンプルだ。「断ったら、次の仕事をもらえなくなるかもしれない」──その不安が根底にある。

特に中小・零細の建設業者にとって、元請けや施主との信頼関係は生命線。
「今回は難しいです」と言った瞬間に、「あそこは融通が利かない」と思われてしまう。
だから、どんなに無理でも受けてしまう。
その結果、納期はギリギリ、品質も危うくなり、現場には殺伐とした空気が漂う。

結局そのツケを払うのは、現場の職人たちだ。
長時間労働、休みなし、技術者不足による無理な配置──
そして、疲弊とプレッシャーの果てに、辞めていく。

◆「人がいない=悪」になってしまった業界構造

他業界であれば、「人がいないから」という理由は正当な事情として受け入れられる。
しかし、建設業界ではそれが“言い訳”と捉えられてしまう。

・「プロなんだから、なんとかしてよ」
・「人がいないのはおたくの都合でしょ?」
・「前はやってくれたのに、なんで今回は無理なの?」

こうした無言の圧力が、建設業者の選択肢を奪っていく。
結果として、「断る自由」が消え、経営判断が“人情”や“惰性”で左右されてしまう。

◆無理に請けても誰も得をしない

「請けないと会社が潰れる」と言って無理な工事を受けた結果、
・現場で事故が起きた
・品質が保てずクレームが入った
・職人が逃げた
・他の現場にも迷惑が波及した

──こうした事例は、決して珍しくない。
短期的には「とりあえず売上を確保できた」と思っても、
中長期的には信用を落とし、コストを増やし、組織を疲弊させるだけ。

「受けること」より、「断る勇気」のほうが、未来の利益を守る行動である場合もあるのだ。

◆なぜ断れない企業ほど職人が辞めていくのか?

一つの現場が終わらないうちに、次の現場が決まる。
現場の数に対して職人の数が明らかに足りていない。
それでも「うちは人手が足りないんです」とは、誰も言えない。

こうなると、現場は常に“火消し状態”になる。
・本来3人でやる仕事を2人でこなす
・残業と休日出勤で帳尻を合わせる
・新人に無理な作業をさせて事故のリスクが増える

当然、働く側のストレスは限界を超え、
「もう無理です」「辞めます」という言葉が出てくる。
そうしてまた一人、現場を去る──

断れない企業には、“辞めたくなる理由”が揃ってしまっているのだ。

◆職人道場で実現する「無理な仕事は断れる経営」の裏付け

職人道場では、企業が「教育された職人を短期間で現場に戻せる仕組み」を提供している。
これにより、「人がいないから請けられない」という状況を一時的に解消できる。

さらに、「人を育てている会社」であるということ自体が、
取引先からの信頼を得る“新たな交渉材料”にもなる。
「今は育成中のため、○日以降であれば対応可能です」と正直に伝えても、
「そこまでして職人を大事にしているなら、信頼できる」と理解を得られる場面も少なくない。

つまり、「断れる企業」になるには、“人材育成”という武器が必要なのだ。

🔚まとめ

「人がいないから断る」──
その言葉を言えない業界は、いずれ人も現場も崩れていく。

請ける勇気より、断る覚悟。
それを持つために必要なのは、「人材が育っている」という確信だ。

職人が辞めるのを防ぎたければ、
まずは“断ることができる経営体力”を持つこと。
それこそが、組織の未来を守る第一歩なのだ。

🟧第10章:職人を辞めた若者が語る「本当の理由」

「どうして辞めたの?」
──職人の卵だった若者に、そう尋ねたとき、返ってくる答えのほとんどは曖昧なものだ。

「ちょっと合わなかった」
「自分には向いてないと思って」
「まあ、色々あって…」

でも、それは本音じゃない。
聞かれても答えたくない“本当の理由”がある。
それは、彼らが現場を去るまでの間に、何度も心の中で繰り返しつぶやいた言葉。
──「誰も、自分のことを見ていなかった」

建設業界の課題は、技術の継承でも、待遇だけの問題でもない。
“人として扱われない”という空気が、若者を黙って去らせているのだ。

◆彼らの中に「誇り」が育つ前に、心が折れた

職人の仕事は、尊く、誇らしい。
建物が立ち上がる。人々の暮らしが生まれる。
その礎を自らの手で形にできる、類まれな仕事だ。

だがその“誇り”を感じる前に、心が折れてしまう若者があまりにも多い。

・わからないことを聞ける空気がなかった
・ミスをしても「バカか」と一蹴されただけだった
・何が正しいのか誰も教えてくれなかった
・誰とも本音で話せなかった

彼らが語る“本当の理由”は、すべて「人との関係性」に集約される。
彼らは、技術の壁ではなく、“孤独の壁”に負けたのだ。

◆「仕事は楽しかったけど、現場が怖かった」

ある20代の元職人はこう語る。

「最初は楽しかったんですよ。モノづくりって面白いし、自分が関わった建物が出来上がるのって、感動もありました。でも、現場にいると、常にピリピリしてて…質問したら怒られそうで、声もかけられなくて」

「結局、誰にも頼れない感じがずっとあって、それがしんどかったです」

──この言葉に、現場の課題が詰まっている。

仕事の内容ではなく、**“関係の希薄さ”**が、若者を辞めさせている。

◆「続けられるかどうかは、結局“人”だった」

別の若者はこう言う。

「給料が安いとか、キツいのは最初から覚悟してたんです。でも、誰かが“頑張ってるな”って言ってくれたら、もう少し続けてたと思います」

──このたった一言がなかっただけで、彼は業界を離れた。

つまり、問題は待遇よりも、“心の報酬”が与えられていなかったことにある。
人は、認められたときに、自分の存在価値を感じられる。
その感覚があるからこそ、「もう少し頑張ってみよう」と思える。
職人が続けられるかどうかは、技術力よりも、**“関係性の質”**が左右しているのだ。

◆辞めた若者の声にこそ、未来を変えるヒントがある

多くの企業は、「辞めた人の声」を怖がる。
「何を言われるかわからない」
「もう関係ない人間だ」──そう思って、向き合わずに終わってしまう。

だが本来、辞めた人の声ほど、改善のヒントに満ちたものはない。

・「誰も名前を呼んでくれなかった」
・「自分のミスのせいで怒鳴られたけど、誰も助けてくれなかった」
・「褒められた記憶が1度もない」

──これらは、現場に必要な“変化の兆し”だ。

新人が感じた違和感を無視し続ければ、これからの若者は決して定着しない。
むしろ、辞めた若者こそ、次の職人を育てる「教材」なのだ。

◆職人道場では“関係性”を最重視する理由

職人道場が育成の場として評価されている最大の理由は、**「技術教育」よりも「人間教育」**に重きを置いているからだ。

・全講師が“声をかける力”をトレーニングされている
・毎日のフィードバックと称賛の文化を徹底している
・新人同士で支え合える“横のつながり”を意図的に作っている

ここで若者たちは初めて、「見てくれてる」「認められている」という安心感を得る。
そして、「もう一度、現場で頑張ってみよう」と立ち上がるのだ。

🔚まとめ

職人を辞めた若者が語る“本当の理由”は、決して待遇や仕事の厳しさだけではない。
それは、「誰も見てくれていなかった」「関係性が希薄だった」──
つまり、“自分がここにいていい理由”を見出せなかったからだ。

次の世代を残したいなら、まずは“人としてのつながり”を育てよう。
それができたとき、ようやく技術は意味を持ち、未来へと引き継がれていく。

🟩まとめ:職人が辞める時代に、我々が変えられること

建設職人が辞めていく──
それはもう、ただの現象ではない。「仕組みの欠落」が生んだ構造的な崩壊だ。

新人は3ヶ月で辞め、技術を受け継ぐ前に姿を消す。
教える余裕はなく、背中だけを見せて育てる時代はとうに終わっている。
それでもなお、「見て覚えろ」「やる気がないだけだ」と片付けてしまえば、
この先、現場にはもう誰も残らない。

職人たちは「給料が安い」から辞めるのではない。
「ここにいても、何も変わらない」と感じてしまうから、そっと現場を去るのだ。
彼らは、怒鳴られて辞めるのではなく、認められなかったから辞めていく
やりがいも未来も、「誰かに見てもらっている」という実感があって初めて芽生える。

そして、この“人がいないから断れない”という悪循環も、
育成の仕組みがなければ、永遠に続いてしまう。
人を育てる時間がない、でも育てなければ現場は崩壊する──
このジレンマを乗り越えるために、今、私たちには“外部の力”が必要だ。

職人道場は、その答えの一つである。
20日間の集中カリキュラムで、未経験から即戦力へ。
技術だけでなく、人との関係性、自信、モチベーション、そして「この仕事が好きだ」と思える“心”を育てる。
それが、定着につながり、技術の継承につながり、企業の持続可能性につながっていく。

職人が育つ場所を持つ企業だけが、生き残る時代が来ている。

未来を変えるには、若者を変えるのではなく、受け入れる“私たち”が変わること。
その第一歩が、育成の仕組みを手に入れることなのだ。

この記事の作成者 職人道場運営責任者 本井 武

「職人不足の時代に、技術を未来へ繋ぐために」

建設業界は今、深刻な人材不足に直面しています。このままでは、長年受け継がれてきた職人の技術や、業界を支えてきた技術会社が消えてしまうかもしれません。私たちは、職人不足の課題に正面から向き合い、企業の未来を守るために職人道場を広める活動を続けています。単なる研修ではなく、職人の魂を継承し、企業の経営を支えるための取り組みです。

日々の営業活動の中で、社長の皆様が抱える不安や悩みに寄り添い、最適な提案をお届けしたい。そして、ただ職人を育てるのではなく、会社の未来を創る力を共に育みたい。日本の建設業を支えてきた技術を、次の世代へ。共にこの業界の未来を守り、職人不足を乗り越えていきませんか?私たちは、建設業の未来のために、共に戦い続けます。

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