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外国人職人とのトラブルを防ぐ10の方法〜雇用から定着まで、現場で本当に効く実践対策〜

「ようやく採用できた!」
とホッとしたのも束の間。外国人職人を受け入れた現場で、最初の数週間で多発するトラブルに頭を抱える経営者は少なくありません。

中には「うちは受け入れ向いてないかも…」と感じてしまう方もいるでしょう。
ですがご安心ください。実は多くのトラブルは、事前に知っていれば防げるものばかりなのです。

この章では、実際の現場で起こりがちな5つの初期トラブルとその背景、そして効果的な対策をお伝えします。

■トラブル①:指示がまったく伝わらない

最も多く寄せられる悩みがこれです。
「工具取って」と言っても動かない、
「そこ片づけて」と言っても見ているだけ。

これは“理解してない”のではなく、そもそも言葉が通じていないのです。
実習生の多くは来日前に日本語を勉強していますが、あくまで日常会話レベル。
現場で使われる日本語は、専門用語・略語・業界スラングだらけです。

✅ 対策:「写真+ジェスチャー+反復」三段構えで伝える

  • 工具や資材名は実物写真を用意し、指さしで覚えさせる
  • 「チョイ持って」「そこやっといて」など抽象語は使わず、「10cm右に、水平に動かして」のように具体的に言う
  • 同じ作業を“3回は一緒に”やって、1人でできるようにする

■トラブル②:道具の使い方が分からず事故や破損

外国人職人は、作業そのものが未経験というケースも多く、
道具の名前はもちろん、使い方自体を知らないこともあります。

たとえば──

  • サンダーを逆方向に回して火花を散らす
  • ドリルを強く押しすぎてビットが折れる
  • ノコギリを引くのではなく“押す”ように扱う

こうしたミスは、危険な事故や現場破損にもつながります。

✅ 対策:入社初日に「道具の使い方研修」を組み込む

  • よく使う工具10種類の使い方を“実演+体験”で教える
  • 誤使用時のリスクも合わせて説明
  • 「自分の手で触って慣れる」時間を30分でもいいから毎日設ける

■トラブル③:あいさつ・返事がなく、やる気がないように見える

「おはよう」と言っても無視。
「分かった?」と聞いても黙っている。
それにイラついて注意したら、さらに距離ができる──
これは非常に多い“文化ギャップ型トラブル”です。

実はこれ、「やる気がない」のではなく、
「怒られたくない」「何を言われたか分からない」から黙っているだけなのです。

✅ 対策:リアクションの“型”を教える

  • 朝礼で「返事の練習」「あいさつのタイミング」を明文化して共有
  • 「わかりました=はい」の反応を繰り返し練習
  • 無視ではなく“困っているだけ”という前提で接する

また、日本人側が一方的に「無視された」と思わず、最初は全てに“問い直し”を加えるクセをつけましょう。

■トラブル④:集合時間を守らない・忘れ物が多い

「8時集合」のはずなのに、来ない。
「手袋持ってきて」と言ったのに、忘れる。

これは“だらしない”のではなく、時間感覚や指示内容の理解不足によるものです。

✅ 対策:集合時間・持ち物チェック表を作る

  • 朝の集合時間、昼休み、退勤時刻を“絵付き”で壁に貼る
  • 翌日の持ち物は、チェックリストを一緒に読み上げて確認
  • できた日は「ナイス!Good Job!」と“できた感”を与える

■トラブル⑤:作業中に体調不良を訴えない

実は、外国人実習生に多いのが「具合が悪くても黙っている」ケース。
なぜかというと、“言うと怒られる”“働けなくなると迷惑”と思っているからです。

そのまま無理をして倒れる、ケガをする、というリスクに繋がります。

✅ 対策:1日1回の“声かけルール”を徹底

  • 朝礼・昼休みに「体調大丈夫?」と聞く
  • 表情を見て「顔色悪いね、無理しないで」と伝える
  • 体調不良の時は“早退しても責められない”空気をつくる

■まとめ:初期トラブルは「事前に防げる」ものばかり

外国人職人を受け入れたばかりの現場で起こるトラブルの多くは、
本人の問題ではなく、**“受け入れ側の準備不足”**に原因があります。

  • 言葉の伝え方
  • 文化の理解
  • 指導の仕方
  • 安心できる環境づくり

この4つを意識するだけで、初期離職や現場混乱のリスクは大幅に軽減できます。

職人道場では、これらの初期トラブルを想定した**「現場受け入れトレーニング」**も用意しています。
“知らなかった”を“できた”に変える第一歩は、ここから始まるのです。

「言ったよな?」
「そんなつもりじゃなかった…」
「“はい”って言ったのにやってないじゃないか!」

──こうしたすれ違いは、外国人技能実習生との現場において日常茶飯事。
実はその多くが、“日本人側の常識”と“外国人の理解”とのズレから生じるミスなのです。

この章では、建設現場で頻発する“コミュニケーションミス”のパターンと、
それを未然に防ぐための具体的な対処法をご紹介します。

■ミス①:「はい」の意味が通じていない

現場でよくあるのが、「はい」と返事はするけれど、実は全然分かっていなかったというケースです。

例えば…

  • 「午後はこの材料を運んでおいて」
  • 「はい!」(でも、なにをどこに、どの順番で?とは聞けない)

✅ 背景:Yes=“聞こえた”だけの意味で使っている

多くの技能実習生は、相手の言葉をさえぎらないように、また場の空気を乱さないように、とりあえず「はい」と返事します。
しかし、実際には内容の半分も理解していないことが非常に多いのです。

■ミス②:「指示の言い回し」が難解すぎる

日本人同士なら通じるニュアンスが、外国人には通じません。

  • 「そこ、チョチョっとやって」
  • 「墨出ししてから、軽くさらっと流しといて」
  • 「いい感じに仕上げておいて」

これでは何を、どこまで、どんな風にやればいいかが曖昧で、ミスが起こって当然です。

■ミス③:叱責が“怖さ”に変わって何も言えなくなる

  • 「なんでできてないんだよ!」
  • 「何度言ったら分かるんだ!」

こうした叱責を繰り返すと、技能実習生は質問も報告もしなくなります。
「怒られるから黙っておこう」という心理が働き、
結果的に“やったフリ・分かったフリ”が蔓延していきます。

■ミス④:「遠回し表現」が理解されない

日本語の文化には“察してほしい”というニュアンスが含まれます。

  • 「そろそろ片付けたいね」=実は「片付け始めろ」
  • 「これ、どう思う?」=実は「間違ってるよね?」
  • 「もう少し工夫してみたら?」=実は「やり直して」

外国人実習生は、こうした“裏の意味”を理解できず、
言われた通りにしか受け取れません。

■ミス⑤:文化的背景から「質問してはいけない」と思い込んでいる

  • 教師や上司に質問するのは失礼
  • 自分から話すのは“生意気”とされる
  • 指示をそのまま受けるのが“忠実さ”と評価される

──こうした母国文化を背負っている実習生も多く、
「分かりません」と言うことが“恥”だと感じてしまうのです。

🔧解決策:「伝える力」「聞き出す力」両方を現場に根づかせる

では、こうしたミスをどう防ぐか?

単に「分かった?」と聞くだけでは不十分。
“理解したかどうかを確認する仕組み”を現場に取り入れることがカギです。

✅ 対策①:「オウム返し」で理解度チェック

指示を出したら、必ずこう言いましょう:

「今の、説明してみて」

実習生が自分の言葉で説明できればOK。
曖昧なら、もう一度ゆっくり、具体的に伝える。

✅ 対策②:「写真」「図」「ジェスチャー」で視覚化

  • 口頭で説明した内容を写真やスケッチで補う
  • 手順書を絵付きで貼り出す
  • 簡単なホワイトボードで工程図を描く

視覚に訴えることで、理解の精度が一気に上がります。

✅ 対策③:「確認」の文化を作る

  • 作業前:「今日やる作業、分かってる?」→「説明させる」
  • 作業中:「何やってる?何の目的?」→「自分の理解を言わせる」
  • 作業後:「どこが難しかった?」→「フィードバックを聞く」

この確認の繰り返しが、“伝える文化”と“聞き出す文化”を現場に根づかせます。

■まとめ:伝えた“つもり”は伝わっていない

技能実習生とのコミュニケーションミスは、
実は多くの場合、「伝えていないのに伝えたと思っている側」に原因があります。

だからこそ必要なのは、

  • わかりやすく言う
  • 具体的に指示する
  • 確認する
  • 怒らず繰り返す

という、“伝わるまでやる”仕組みづくりです。

職人道場でも、現場ですぐに使える「伝え方の型」を習得する指導法を採用しています。
その型があれば、ミスは防げ、定着率も自然と上がっていくのです。

「なんで言ってくれなかったの!?」
「それ、早く相談してくれれば…」
「壊れてたの、知ってたのに黙ってたのか?」

——現場でよく聞かれるこんな声。
外国人実習生に起きがちな**“報告・相談しない問題”**は、放置すれば作業ミス・事故・人間関係の悪化など、重大なトラブルに直結します。

ですが、ここで忘れてはならないのは、「言わない」のではなく「言えない」背景があるということ。

本章では、外国人が報告・相談しない根本原因と、それを解決するための実践的な対策を掘り下げていきます。

■“報告しない”には、理由がある

✅ 理由①:「怒られるのが怖い」

一番多い理由がこれです。
とくに東南アジア圏では、“失敗=恥・罰”という価値観が根強く存在しています。

  • 「ミスしたことがバレたら怒られる」
  • 「体調が悪いと言ったらサボっていると思われる」
  • 「壊れた道具を報告したら、責任を押しつけられるかもしれない」

このように、“報告=マイナス評価”という意識が強く、
黙ってやりすごそうとする心理が働くのです。

✅ 理由②:「何を、いつ、誰に伝えればいいか分からない」

「報告しなさい」と言われても、

  • どのレベルのことを言えばいいのか?
  • 誰に言えばいいのか?
  • どのタイミングで言えばいいのか?

こういったことが分かっていない実習生は少なくありません。

つまり、報連相の“型”を教えていないことが原因の場合も多いのです。

✅ 理由③:「日本語でうまく言えない」

  • 「自分の日本語が下手だとバカにされるのでは…」
  • 「伝えたいけど、単語が出てこない」
  • 「伝えたつもりが伝わらなかった経験があって怖い」

日本語の不安が、報告そのものへの心理的ハードルを高くしてしまっています。

■現場でのよくある“報告しない”トラブル事例

  • ケガをしたが黙って作業を続け、翌日病院送りに
  • 材料を間違って使ったことに気づいたが報告せず、現場が全やり直しに
  • 同僚と揉めたが誰にも相談せず、翌日から無断欠勤

これらは、いずれも**“言っていれば防げた”トラブル**です。

🔧“言える環境”を作るのが、管理者の仕事

報告・相談ができないのは、実習生の能力や性格のせいではありません。
「報告しやすい雰囲気」「聞いてもらえる安心感」「言っても大丈夫という信頼関係」
——これらが現場にないと、誰であっても口を閉ざします。

✅ 対策①:「報告は責任感」と教える

まずは、「報告=悪いことを言う」ではなく、
「報告=信頼される行動」という認識を持たせることが大切です。

  • 「報告してくれてありがとう」
  • 「君のおかげで大事にならなかったよ」
  • 「困った時に相談してくれるのが一番嬉しい」

こうした言葉を繰り返すことで、“報告は勇気ある行動”だと伝えることができます。

✅ 対策②:「報告の型」を明文化して教える

日本人は感覚でやっている報連相も、外国人には“手順”として伝える必要があります。

たとえば、朝礼で下記のように伝える:

  • 報告する人は「リーダーか監督」
  • 伝えるタイミングは「気づいたらすぐ」
  • 内容は「作業ミス・体調不良・不安・わからないこと」

さらに、「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうした)」を記入する簡易報告シートを使うのも効果的です。

✅ 対策③:「週1の個別ヒアリング」を設ける

忙しい現場では、どうしても日々の会話だけでは拾いきれない声があります。
そこで、週に1度5分だけでも“個別で話す時間”を設けると、実習生が本音を話せるようになります。

可能であれば、通訳や同じ母国の先輩実習生が同席すると、心理的な安心感が増します。

✅ 対策④:「報告して損しなかった」体験を与える

報告した時に──

  • 「よく言ってくれた」と褒める
  • 「じゃあこうしよう」と一緒に対処する
  • 「成長したね」と認める

こうした経験を積ませることで、
「報告=評価される」体験が実習生の行動を変えていきます。

■まとめ:「報告は文化であり、信頼の結果」

外国人実習生が報告・相談をしないのは、
スキルの問題ではなく、職場文化と信頼関係の問題です。

怒らない、責めない、受け止める、寄り添う。
その一つひとつの姿勢が、報告しやすい空気を作ります。

そして、それはトラブルの未然防止だけでなく、定着率向上にも直結するのです。

「サンダーを逆に回して火花が飛び散った」
「ドリルを無理やり押してビットが折れた」
「脚立から落ちてケガをしたが、誰にも言わず帰宅」

外国人職人の雇用現場では、こうした**“ヒヤリ・ハット”や事故寸前のトラブル”**が日常茶飯事です。

これらのトラブルは、「注意すれば防げたこと」ばかり。
しかし注意だけで解決できないのが現実です。
根本的な“教育設計”が間違っていることこそ、問題の本質なのです。

本章では、作業ミス・道具破損・ケガを防ぐための教育的工夫を、実践視点で徹底解説します。

■そもそも「知らない」のが当たり前

外国人技能実習生の多くは、建設現場未経験で来日します。
日本人の新人でも初めはミスが多いのに、そこに

  • 言葉の壁
  • 文化の違い
  • 道具の違い
  • 教育スタイルの違い

が重なれば、ミスが起きるのは当然です。
つまり「やらかして当然」という前提で、教育設計を組まなければならないのです。

■【失敗パターン①】とにかく現場に放り込む

「見て覚えろ」
「現場で慣れさせればいい」

という考え方は、教えられる側にとっては“放置”と同じ。

その結果…

  • 道具の名前が分からない
  • どこにしまうか知らない
  • ケガしても黙って作業してしまう

──こうしたリスクを招くのです。

■【失敗パターン②】1回教えたら終わり

日本人でも、1回の説明で100%理解する人は少数派。
ましてや外国人なら、“初見で分かる”なんてほぼ無理です。

特に危険を伴う作業や道具ほど、反復とフィードバックが命。
「1回教えたのに…」という言葉は、教える側の責任放棄です。

🔧即実践できる!安全教育の工夫5選

✅ 工夫①:写真・動画で“視覚化”されたマニュアルを作る

  • 作業手順をスマホで撮影して動画マニュアルに
  • 「やってはいけない例」も合わせて見せる
  • ポスターや道具置き場に写真付きの使い方掲示

視覚で理解できる仕組みは、言語の壁を超えて情報を届ける力があります。

✅ 工夫②:1人1回ずつ“実技体験”させる

  • 道具の持ち方・使い方を手取り足取り教える
  • 最初は1つの作業だけに絞って集中練習
  • できた瞬間を“褒めて定着”させる

ポイントは「説明→実演→実践→振り返り」の4ステップ反復です。

✅ 工夫③:新人教育担当を“専任”で決める

  • 誰が教えるかを曖昧にしない
  • 指導のムラがなくなる
  • 教え方がブラッシュアップされていく

さらに、「この人に聞けばいい」という安心感が実習生に生まれます。

✅ 工夫④:使った道具を“しまうまでが仕事”と教える

  • 工具や資材の整理整頓は“現場安全”の基本
  • 「使ったら戻す」「汚れたら拭く」を1日5回言う
  • “工具点検チェック表”を毎日つけさせる

道具の管理能力=安全意識の高さに直結します。

✅ 工夫⑤:軽微なケガの報告を“日常化”する

  • 「ケガを隠すと危険」という認識を与える
  • 軽いすり傷でも報告→手当→記録を徹底
  • 朝礼で「昨日こんなケガがありました」と共有

これにより、**「ケガ=悪いこと」ではなく「報告すべきこと」**という文化が生まれます。

■教育に投資する会社が、“事故ゼロ”に近づく

教育には手間も時間もかかります。
けれどその投資は、道具破損や事故による損失、信頼喪失に比べれば圧倒的に安い。

特に外国人職人は、教えた分だけ素直に吸収する傾向が強いため、
教育次第で“危険要因”から“安全意識のある戦力”へと成長していきます。

■まとめ:“ケガもミスも、防ぐのは仕組み”

外国人職人の作業ミス・破損・事故の多くは、
「本人の不注意」ではなく、**“教育設計の不備”**です。

  • 見せる
  • 触らせる
  • 繰り返す
  • フィードバックする
  • 仕組みに落とし込む

この5つをベースに教育を再構築すれば、
トラブルは減り、生産性は上がり、実習生の定着率も劇的に改善します。

「最近の実習生はすぐに辞める」
「何度言っても覚えない」
「昔の新人はもっと根性があったぞ」

——そんな言葉が現場で聞こえるとき、
実は“辞めたくなる理由”や“覚えられない原因”を作っているのは、指導側の態度や対応かもしれません。

外国人職人を即戦力に育てるためには、
**彼らの文化・価値観・性格に配慮した“教え方のスタイル”**が必要です。

この章では、監督・職長・先輩職人が無意識にやりがちな**“やってはいけないNG対応”**を5つ紹介し、その改善策を解説します。

■NG対応①:「怒鳴って教える」=恐怖で支配する

現場では今でも「声が大きい方が偉い」という風潮が残っています。

  • 「何度言ったら分かるんだ!」
  • 「なんでそれもできねぇんだ!」
  • 「ふざけてんのか?」

──こうした怒鳴りは、外国人実習生にとっては“威圧・暴力・拒絶”と受け止められることが多いのです。

✅ 対策:「感情」ではなく「目的」を伝える指導

  • 「どうしてそれをやるのか」まで説明する
  • トーンを落として冷静に、短く伝える
  • 指摘より先に“できている点”を見つける

怒鳴るのは教えではなく、恐怖の押しつけ
恐怖で人は育ちません。

■NG対応②:「指示が抽象的・雑」

  • 「チョチョっとやって」
  • 「テキトーにやっといて」
  • 「感覚で分かるだろ?」

こうした“通じる前提”の言葉は、外国人にはほぼ意味不明な呪文です。

✅ 対策:「数字・位置・目的」で具体的に

  • 「ここのパイプを左に10センチ、まっすぐ動かして」
  • 「この壁にボード3枚、上から順番に貼ってください」
  • 「この作業は、次の工程のための準備です」

「誰が聞いても分かる説明」を心がけることが重要です。

■NG対応③:「教える気がない」=放置・自己流に任せる

  • 「見て覚えろ」
  • 「やってれば慣れるだろ」
  • 「俺が新人の頃は誰も教えてくれなかった」

このスタンスは、外国人実習生を“戦力に育てる機会”を自ら放棄しているに等しい行為です。

✅ 対策:指導は“任務”であると明文化

  • 教える役割を事前に“担当者”として任命する
  • 教育係の行動を“評価対象”とする
  • 最低限のマニュアルと説明資料を準備

“教えることを仕事として認識させる”ことで、放置や丸投げが減ります。

■NG対応④:「できない前提で関わる」=信頼ゼロの接し方

  • 「どうせ分からないだろうけど」
  • 「あいつらは危なっかしくて任せられない」
  • 「一人でやらせたらミスるに決まってる」

こうした接し方は、実習生に“信じられていない”と伝わります。

その結果…

  • やる気をなくす
  • 自分から動かない
  • 成長しない

という悪循環に。

✅ 対策:小さな「任せる→できた→認める」を積み重ねる

  • 簡単な作業から1人でやらせてみる
  • できたら言葉に出して褒める:「よくやった!」
  • 次の工程へ“ランクアップ”させる

“信じること”が、本人の成長意欲を引き出す起爆剤になります。

■NG対応⑤:「外国人だから仕方ない」と諦める

  • 「言葉の壁があるから仕方ないよね」
  • 「文化が違うし、期待してない」
  • 「どうせ3年で帰るし」

こうした“諦めのマインド”は、本人にも伝染します。
「期待されていない」と感じた実習生は、努力する意味を見失い、成長意欲を失います。

✅ 対策:「変わる前提」で教育設計する

  • 入社1ヶ月後、3ヶ月後、半年後の“成長シート”を作成
  • 振り返り面談を定期的に実施
  • 成長が見えたら“職場での役割”を上げる

「成長を前提にした設計」が、実習生を本当の意味で戦力に変えます。

■まとめ:“NG対応”は人材育成を崩壊させる

外国人実習生が定着せず、トラブルを起こし、育たない。
その背景には、教える側の“接し方の質”があるということを、経営者・監督・先輩職人こそ自覚する必要があります。

  • 怒らない
  • 抽象で語らない
  • 放置しない
  • 信じて任せる
  • 諦めない

この5つを意識するだけで、現場の空気は変わり、
実習生は“やらされる人”から“自ら動く人”へと変わっていきます。

「うちは技能実習生だけど、特定技能って何が違うの?」
「制度の違いで何を気をつけるべきかわからない」
「将来的には特定技能に切り替えた方がいいのか?」

——外国人職人の受け入れを行っている建設会社の多くが、
制度そのものの違いを曖昧なまま運用してしまっているケースが非常に多く見られます。

技能実習と特定技能。
この2つの制度の“目的・期間・権利・注意点”を正しく理解していなければ、思わぬトラブルや制度違反につながる可能性もあります。

本章では、「制度の違いを整理した上で、現場レベルで気をつけるべきポイント」をわかりやすく整理していきます。

■まずは制度の“本質”の違いを整理しよう

比較項目技能実習制度特定技能制度
目的国際貢献(技能移転)労働力確保(即戦力)
雇用期間最大5年最長5年(条件により延長可)
業務範囲習得目的に限られる現場実務にフル対応可能
雇用形態実習生(研修の一環)労働者(通常雇用)
在留資格技能実習1号〜3号特定技能1号(建設分野)
監理団体必要基本不要(登録支援機関が対応)
転職の自由原則不可(許可制)業界内での転職が可能
日本語要件基礎会話程度でOKJLPT N4相当以上が必要

このように、技能実習=育成、特定技能=戦力化前提の制度です。

■技能実習制度の注意点

✅ ① 監理団体が間に入るので、意思疎通が間接的になる

技能実習制度では、外国人職人は「監理団体」が紹介し、日常的なフォローもその団体を通じて行います。
そのため、情報伝達が遅れたり、実態が現場に届かないケースが起こりやすいのが特徴です。

✅ ② 仕事内容が“技能移転”の範囲に限られる

制度上、実習生は「学ぶために来ている」ので、法律的には“学習できる業務”しか行えないとされています。
重機オペレーターや現場監督的な立場はNGとなるため、役割分担をしっかり決めておく必要があります。

✅ ③ 実習修了時の“継続雇用”が難しい

実習は最長5年で終了。本人が望んでも、そのまま雇用を続けることはできません。
継続するには「特定技能」など、別の在留資格への変更が必要になります。

■特定技能制度の注意点

✅ ① 実務レベルの即戦力が求められる

特定技能は、あくまで“労働力としての雇用”なので、現場では**「できて当然」という期待値が前提**になります。
教育機会の提供よりも、“成果”が優先されがちになるため、スタート段階でのミスマッチが起きやすいのです。

✅ ② 登録支援機関によるサポートの質に差がある

技能実習の監理団体とは異なり、特定技能では「登録支援機関」がサポートを行います。
この支援機関の選定によって、生活支援・文化対応・トラブル時の対応力に大きな差が出ます。

✅ ③ 転職の自由がある=引き抜きのリスクもある

特定技能の外国人は、一定条件を満たせば自由に転職が可能。
つまり、待遇が悪かったり、教育・人間関係に問題があると、突然辞めて他社へ移る可能性があります。

■制度の切り替えには“戦略”が必要

技能実習から特定技能へ切り替える場合、以下の点を考慮しましょう:

  1. 制度移行のタイミング:3年修了後すぐ?5年満了時?
  2. 本人の意向確認:帰国希望なのか、日本に残りたいのか?
  3. 社内の育成設計:特定技能として長期雇用するなら、中核人材として育てる準備が必要
  4. 待遇の見直し:特定技能は“労働者”扱いなので、日本人と同等の条件を整備する必要がある

■まとめ:「制度を理解すること=リスクを減らすこと」

技能実習と特定技能は、目的も役割も全く異なる制度です。

にもかかわらず、「似ているから同じように扱ってしまう」ことが、
多くの現場トラブルや離職、制度違反につながっているのが現実です。

だからこそ、経営者や現場リーダーこそが制度を正しく理解し、

  • どの制度で
  • どんな職人を
  • どんなふうに育てていくのか

を明確にすることで、“制度を使いこなす側”に回ることができるのです。

「まさか、いきなり辞めるとは思わなかった…」
「しばらく現場に来てないと思ったら、失踪していた」
「ミスを繰り返すのに、誰も気づいていなかった」

外国人職人の雇用現場では、些細な管理ミスが大きなトラブルに発展することが多々あります。
しかも、それは特別な失敗ではなく、**“多くの会社が無意識にやってしまっている管理の落とし穴”**であることがほとんどです。

この章では、実際にあった事例をもとに、「絶対にやってはいけない管理法」とその改善策を解説します。

■事例①:入社初日にいきなり現場投入 → 3日後に離職

▽状況

フィリピン出身の実習生2名を受け入れた建設会社。
初日は朝礼のあと、即現場へ。配属先では誰が教えるかも決まっておらず、
1人は材料運び、もう1人は何もせず立ち尽くす。

3日目の朝、2人とも「辞めます」と通訳に伝え、そのまま帰国。

❌やってはいけない管理

  • オリエンテーションなし
  • 担当者不在・丸投げ
  • フォロー体制ゼロ

✅改善ポイント

  • 入社初日は職場案内・安全研修・道具紹介を必須に
  • 教育担当を**“専任”で決定し、名前と顔を一致させる**
  • 作業初日は半日同行+振り返りミーティングを導入

■事例②:ミスを叱責し続けた結果、報告しなくなった

▽状況

実習生が寸法を間違えてボードを切ってしまった。
監督が「なんでできねぇんだよ!」と激怒。
その後も同様のミスが数回続くが、報告せず放置するようになる。

気づけば、壁材20枚分が無駄になっていた。

❌やってはいけない管理

  • 怒鳴るだけの“感情管理”
  • 報告しない原因を作ってしまう
  • フィードバックの仕組みがない

✅改善ポイント

  • ミスを**“学びのチャンス”と捉える文化**を構築
  • 毎日の作業後に簡単な振り返り時間を設ける
  • 「今日困ったことはあった?」と毎日声をかける

■事例③:LINEで指示→意味が伝わらずミス多発

▽状況

監督が実習生にグループLINEで作業指示を送信。
「次はあの現場で石こうボード貼って」と打ったが、
“石こう”の意味が分からず、違う材料で施工してしまう。
現場やり直しとなり、材料・時間が丸々無駄に。

❌やってはいけない管理

  • 日本語の文面をそのまま送る
  • 難しい単語を平気で使う
  • 送ったあとの確認をしない

✅改善ポイント

  • 指示は写真+簡単な日本語で送る(例:「これのボードをここに」)
  • LINE送信後は**「分かったらOK返して」「何する?」と確認を取る**
  • “既読=理解”ではないことを徹底する

■事例④:技能実習と特定技能を混同してしまい、制度違反に

▽状況

技能実習中の外国人を、資格範囲外の作業(高所作業・重機操作など)に従事させた。
数ヶ月後、監理団体の巡回で発覚し、受け入れ停止処分に。

❌やってはいけない管理

  • 制度の理解不足
  • 職種・作業範囲を把握していない
  • 教育と業務の線引きが曖昧

✅改善ポイント

  • 技能実習計画書を全社員で共有する
  • 作業範囲はホワイトボードで見える化
  • 制度別にマニュアル整備+毎年の社内研修を実施

■事例⑤:文化ギャップを理解せず、摩擦で離職

▽状況

インドネシア人実習生が、注意されても笑っているように見えたため、
「ふざけてるのか」と監督が激昂。
実習生はその後、会話を拒否し、2週間で辞める。

後から分かったのは、彼にとって笑顔は「すみません」の意味だったということ。

❌やってはいけない管理

  • 相手の文化背景を知らない
  • 表情・言動の“意味の違い”を考慮していない
  • 言葉以外の部分で誤解が生まれる

✅改善ポイント

  • 入社前に文化ギャップ研修を実施
  • 日本人側も**「受け入れ力」を磨く教育**を行う
  • トラブルが起きたら**「なぜこうなったか」を両者で振り返る**

■まとめ:「知らなかった」が最大のトラブル要因

どの事例にも共通するのは、“制度や相手のことを知らないまま”現場に入れてしまったこと。
そしてもう一つは、**“指導者・管理者が自分の常識で判断してしまったこと”**です。

外国人職人の雇用は、ただ「人を増やす」ことではありません。
異なる背景を持つ人と一緒に働くための“仕組み”と“意識”を育てるプロセスです。

トラブルの多くは、事前の情報共有と教育で防げます。
同じ失敗を繰り返さないためにも、
“やってはいけない管理”を知ることこそが、最初の一歩なのです。

「LINEで伝えたのに、なんで違うことしてるの?」
「ちゃんと読んだはずだよね?」
「“了解”って返事あったのに、やってない!」

——外国人職人と現場でのやりとりにメールやLINEを使う企業が増えています。
しかし、その“便利なはずのツール”が、逆にトラブルの火種になっている現場が多いのも事実です。

本章では、外国人職人に「伝わらない」メール・LINE指示の原因を分析し、
確実に“通じる”ようにするための対策方法を具体的に解説していきます。

■原因①:「既読=理解」と思い込んでいる

LINEやチャットで最も多い誤解がこれです。

  • 「既読ついてるから、読んでるはず」
  • 「返事が“はい”だったから理解してると思った」

でも実際は…

  • 読んではいるけど、内容は分かっていない
  • もしくは、分からないまま“とりあえず返事だけする”

というケースがほとんどです。

■原因②:漢字・専門用語・略語が多すぎる

たとえば、こんな文面👇

「明日9時、2F配線完了後に天井ボード貼り、A棟側優先で対応願います」

一見、業界では普通の指示文。
しかし外国人実習生にはこう見えます:

  • 2F → 二階?作業場所?
  • 配線完了 → 何が終わってる?どう判断?
  • A棟 → Aってどこ?図面番号?
  • 優先 → 優先ってどういう意味?他はどうする?

つまり、指示が複雑すぎて理解できないのです。

■原因③:画像や図がない、言葉だけの指示

文字だけで説明しようとすると、どうしても誤解が生まれやすくなります。
特に、日本語に不慣れな外国人にとっては、**“文字=苦手な情報媒体”**です。

■原因④:「指示の背景」が説明されていない

  • なぜ今それをやるのか?
  • どこまでが自分の担当なのか?
  • どの順番でやるのか?

こういった“全体像”を伝えないと、外国人職人は作業の意味がつかめず、結果的に動けなくなります。

🔧メール・LINEで「伝える技術」:5つの対策

✅ 対策①:短く・単語ベースで送る

  • 「今日 → 2F → 板貼る」
  • 「まず→掃除→その後→材料運ぶ」

1行ずつ、1つの動作・1つの目的だけを明記するだけで、格段に伝わりやすくなります。

✅ 対策②:写真・動画・イラストを必ず添える

  • 作業内容の写真
  • 材料の画像
  • 終わった後の“完成形”をビジュアルで提示

LINEで画像+簡単な説明をセットで送ると、視覚と言語の両方で理解できるため、精度が大きく向上します。

✅ 対策③:「理解チェック」を組み込む

送信後に、必ずこう聞きましょう:

「わかったらOK返して。何するか一言で送って」

→ 実習生が自分の言葉で返答してきたら、それで初めて**“理解している”と判断できます。**

✅ 対策④:「やることリスト」を送っておく

たとえば、以下のような簡単なリスト:

  1. 掃除(A棟)
  2. 板の準備(倉庫から)
  3. ボード貼り(2F北側)
  4. 工具片付け

→箇条書きと順番を明記しておけば、現場で何をすればいいか一目でわかるため、迷わず動けます。

✅ 対策⑤:返信のスタイルを統一しておく

  • OK → 理解した
  • NG → わからない
  • SOS → 誰か来てほしい

など、返信ルールをあらかじめ決めておけば、緊急時にもすばやく対応可能になります。

■まとめ:“伝わるLINE”にはルールと工夫が必要

LINEやメールはとても便利なツールです。
しかし、それは**「伝わる設計」ができていればの話。**

外国人職人にとっては、

  • 言葉の壁
  • 表現の癖
  • 文化の違い

が積み重なり、“ただの文字”がストレスの原因にもなり得ます。

だからこそ必要なのは、
“送る側のリテラシー”=伝えるための設計力なのです。

「何回言っても伝わらない…」
「『はい』って返事はするのに、やってない」
「もうこれ、日本語の問題じゃないのか?」

——そんなふうに感じたことはありませんか?

でも実は、それ、“外国人が日本語を理解していない”のではなく、
“日本人側が伝わらない日本語を使っている”可能性が高いのです。

本章では、現場で多く使われているにもかかわらず外国人職人に通じない言葉と、
どうすれば正しく伝わるのか?“伝わる日本語”の使い方を解説していきます。

■そもそも、日本語はあいまいな言語

日本語には、「空気を読む」「察する」「遠回しに伝える」など、暗黙の了解を前提とした表現が数多く存在します。

これは日本人同士では機能しますが、外国人には極めて難解。
なぜなら、彼らは「聞いたこと」しか理解できず、「読み取る」「感じ取る」が非常に苦手だからです。

🔴 伝わらない日本語の代表例

❌「ちょっとこれやっておいて」

→ “ちょっと”の程度も、“これ”の中身も、“やっておいて”のゴールも不明。
→ 実習生:「何を、どこまで、どうすればいいのか…?」

❌「いい感じにやって」

→ “いい感じ”は人によって感覚が異なる。
→ 実習生:「何を基準に“いい”のか分からない」

❌「テキトーでいいよ」

→ 日本語の「テキトー」は状況によって“適当=適切”にも“適当=いい加減”にもなる。
→ 実習生:「どっちの意味?」

❌「分かってるよね?」

→ 実習生は“分からない”とは言いづらい状況にある。
→ 結果、「はい」と言うだけで、理解していないまま進んでしまう。

❌「それ、やっといてくれたら助かる」

→ あいまいな依頼口調=命令ではないと思われる。
→ 実習生:「やってもやらなくてもいいのかな?」

🟢 伝わる日本語のポイント

✅ 1. 主語・動詞・目的語を明確にする

例:
「山田さん、倉庫からハンマーを3本、午後3時までに持ってきてください」
→ 誰が、何を、いくつ、いつまでに、どうするかを明示

✅ 2. 短く区切る

悪い例:
「明日朝イチでA棟の2Fに運ばれたボードを3枚ずつ、2組で手分けして張ってから、端の処理もやっておいてね」

→ 長すぎて理解不能

良い例:
①「明日、朝8時にA棟に行く」
②「2階にボードがある」
③「ボードを3枚持ってくる」
④「2人で貼る」
⑤「終わったら端をきれいにする」

→ ステップに分けて説明することで理解が進む。

✅ 3. 抽象語・あいまい語は使わない

NG:「ちょっと、軽く、ふわっと、まあまあ、いい感じ」
→ これらは避けるべきワード

OK:「5mmだけ削る」「10cm右に動かす」「音が出ないようにそっと」

✅ 4. 「伝わったか?」ではなく「説明させる」

  • 「分かった?」ではなく「何をやるか教えて」
  • 伝えた後はオウム返しをさせて、理解度を確認
  • もし言えなければ“もう一度”説明する

✅ 5. ビジュアルで補足する

  • 文章だけで伝えず、写真やイラストで補足
  • 手順書は「写真付き日本語+母国語併記」に
  • 「コレ」と言いながら指差す、身振り手振りも効果的

■よく使われる「伝わるフレーズ」例(建設現場編)

日本語(伝わりやすい)意味
今、〇〇をやってください具体的な作業指示
次は、□□です次のステップ提示
分からなければ、すぐ言ってください安心感を与える
これはダメ。これはOK比較で伝えると理解しやすい
見てください → やってみてください反復指導の基本

■まとめ:“言葉選び”が信頼と成果をつくる

外国人職人とのコミュニケーションでは、
言葉の正確さと、わかりやすさが命です。

「伝えたつもり」ではなく「伝わったか?」を確認する。
その積み重ねが、誤解をなくし、信頼関係を築き、ミスやトラブルを防ぎます。

指導者に必要なのは、語彙力ではなく、相手に届く工夫。
それを磨くことが、あなたの現場の生産性と定着率を劇的に変えていくのです。

「なんであいつは目を見て話さないんだ?」
「はいって言ってたのに、やらないのはナメてるのか?」
「お互い悪気はないのに、どうしてこんなにすれ違うんだろう?」

——外国人職人と現場で働く中で、**文化の違いによる“すれ違い”**は避けて通れない壁です。

でも実は、そのギャップを無理になくそうとするよりも、**“共通体験”を通して一緒に笑ったり、感じたりすること”**の方が、信頼関係を築く近道なのです。

本章では、文化の違いを超えるために有効な「共通体験づくり」の考え方と実践例を紹介します。

■文化の違いは“理解”しようとしても、限界がある

外国人職人の多くが、日本とは異なる価値観を持っています。

たとえば──

  • “叱られたら黙る”のは尊敬の証
  • “笑ってごまかす”のは緊張の裏返し
  • “無言でいる”のは怒っているのではなく考えているだけ

一方、日本の現場では:

  • 「返事がないのはやる気がない」
  • 「目を見ないのは失礼だ」
  • 「報連相は社会人の基本だ」

——こうした“常識の違い”が、日々のすれ違いを生んでいるのです。

この文化ギャップをすべて理解し合おうとするのは、とても難しい。
だからこそ、“言葉ではなく体験を共有すること”が最も有効なのです。

🔧共通体験をつくる3つのステップ

✅ ステップ①:一緒に“食事”をする

食事は言葉を超える最強のコミュニケーションです。

  • 昼休みに同じ輪になってお弁当を囲む
  • たまにはカレーや鍋を一緒に作ってみる
  • 「うまい!」の一言で笑い合う

このように、“同じものを食べる”ことは文化や立場の違いを一気に縮めてくれます。

✅ ステップ②:小さな“感動体験”を共有する

  • ひとつの現場が無事に終わった時
  • 雨の日に皆でテントを張って乗り切った時
  • 実習生が初めて褒められた時

そうした瞬間に、**「やったな!」「ありがとう!」「助かった!」**といった感情を言葉にすることで、
「この人と一緒に仕事するのは嬉しい」と実習生は感じるようになります。

✅ ステップ③:現場以外の“時間”を共にする

  • バーベキュー
  • 運動会
  • 清掃ボランティア
  • 地元のお祭り参加

こうした“現場を離れた時間”でこそ、上下関係ではなく人と人としてのつながりが生まれます。

■文化を乗り越えるには、“一緒に乗り越える”しかない

文化の違いは“壁”ではありません。
その壁の前に立ち、同じ方向を見て、「どう超えるか?」を一緒に考えることこそが、
外国人職人と信頼関係を築く上で最も大切な姿勢です。

“正しいやり方”よりも、“一緒に笑える時間”。
“理解し合う”よりも、“分かり合える瞬間”。

それらの積み重ねが、**「辞めずに残る外国人職人」への第一歩なのです。

外国人職人の雇用が当たり前になりつつある今、
「言葉が通じない」「ミスが多い」「すぐ辞める」といった現場の悩みは、
もはや“個人の資質”ではなく“現場の仕組み”と“接し方”によって生まれているといえます。

本ブログで紹介した10のトラブル回避策は、どれも特別なスキルを要するものではありません。
むしろ、ちょっとした気配り、少しの準備、そして相手を思いやる視点があるかどうか、それが鍵になります。

■今回の10の要点をもう一度おさらいすると──

  1. 初期トラブルは“教え方の問題”であり、準備次第で激減する
  2. コミュニケーションミスは“伝え方を整える”ことで防げる
  3. 報告しないのは“言えない環境”が原因。安心感が大事
  4. ミスやケガは“見て覚えろ”ではなく、繰り返しの教育で防げる
  5. 怒鳴る・放置・決めつけが現場の雰囲気を壊す最大のNG
  6. 技能実習と特定技能の違いを知らないと制度違反やミスマッチに
  7. トラブルの裏には必ず“やってはいけない管理法”がある
  8. LINEやメールは“伝える技術”がなければ逆に混乱を招く
  9. 伝わる日本語を使えば、指示は簡単・明確・ミスゼロに
  10. 文化を乗り越える最良の手段は“共通体験”の積み重ね

■トラブルは“人”が原因ではなく、“仕組み”と“文化”の結果

外国人職人が育たない、続かない、通じない――
そうした現場の課題は、本人の能力不足ではなく、
「どう教えるか」「どう伝えるか」「どう迎えるか」によって、
いくらでも変わっていきます。

■職人道場のような“育成の型”がある企業が、選ばれる時代へ

職人道場では、外国人実習生をたった20日で“現場で動ける即戦力”へと育て上げるノウハウがあります。
その理由は、まさにこのブログで書いてきたことに集約されます。

  • 教育の仕組み化
  • 言葉と文化への理解
  • 現場と教育のつながり
  • そして“人として育てる姿勢”

こうした総合力を持つ企業こそが、
これからの建設業界の人材確保競争で勝ち抜いていくのです。

「外国人だから難しい」のではありません。
「受け入れる準備ができていない」から難しくなるのです。

今日からできることはたくさんあります。
たった1つの“伝え方”を変えるだけでも、現場の空気は変わります。
そして、“育てる意識”を持つことで、職人は誰でも“戦力”になります。

その第一歩を、このブログを読んだ今から始めてみてください。

「職人不足の時代に、技術を未来へ繋ぐために」

建設業界は今、深刻な人材不足に直面しています。このままでは、長年受け継がれてきた職人の技術や、業界を支えてきた技術会社が消えてしまうかもしれません。私たちは、職人不足の課題に正面から向き合い、企業の未来を守るために職人道場を広める活動を続けています。単なる研修ではなく、職人の魂を継承し、企業の経営を支えるための取り組みです。

日々の営業活動の中で、社長の皆様が抱える不安や悩みに寄り添い、最適な提案をお届けしたい。そして、ただ職人を育てるのではなく、会社の未来を創る力を共に育みたい。日本の建設業を支えてきた技術を、次の世代へ。共にこの業界の未来を守り、職人不足を乗り越えていきませんか?私たちは、建設業の未来のために、共に戦い続けます。

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