職人育成などありえない!?否定派の左官屋社長も驚いた研修後の生産性
栃木県那須塩原市で建設業の「新人教育」、即戦力職人を育成している職人道場です。
幅広い業種にて研修を提供し、それぞれ考え抜かれたカリキュラムで未経験の方、多能工を目指す方、日本に来たばかりの外国人社員さんなど、徹底指導しています!
今回、お話頂いたのは職人道場をご利用頂いている、株式会社谷幸(左官工事)の谷口社長。
谷幸で働く外国人の方はみなさん日本に来てすぐ、職人道場を利用し自社スタイルの研修で基礎技術を身につけているそうです。しかし、初めは研修など意味がない!と否定派だったという谷口社長。考えを一変させたのは研修後の驚きの生産性でした。
■現場で教える負担が激減。「研修否定派」だった親方が必要性を痛感した効果
イ:谷口さんは当初、職人道場否定派だったそうですね!?
谷口さん:建設業の基礎的なことを教える研修にはものすごく否定的でした。
お恥ずかしい話ですが、勉強に行かせている間も日当を支払わないとならない、仕事もしていないのに給料払うって何!?と思っていたんです。
自分たちの時代は現場で仕事を見て、技術を盗んで覚えてきました。
見習いの時期があって3年ほど経つと『年明け』と言って、はじめて一人前になれる。見習いの間は先輩から『坊主』と呼ばれるんですが、その坊主の時期を経ないで学校で基礎を学ぶなんてあり得ない。何でそんなのにお金を払うんだろうという考えでした。
イ:その考えが変わってきたのは何がきっかけなのでしょうか。
谷口さん:研修を受けた外国人の子がすごいスピードで成長したからです。日本語も技術も。職人道場はすごい!と感じるようになりました。
決定的に考えが変わったのはこの前日本に来たばかりのビエットくん。来日したときちょうどお盆休みで、しばらく道場が使えなかったんです。1ヶ月は現場で教育しないといけなかったのですが、これが予想以上にめちゃくちゃ大変で。
ここしばらく全く未経験の子を社内で教育するということがなかったので、何もわからない子に一から仕事のことを説明するのがこんなにも大変なのかと改めて実感しました。日本語があまり通じないから理解できたのかどうかもわからない。コミュニケーションの段階で既に辛さがありました。
(谷口社長と、職人道場で研修を受けたことのあるトゥンさん)
■専門用語から日常会話までわかるようになる
イ:では先に研修を受けたトゥンさんのことを教えて下さい。
研修中や、その後の現場での働きぶりはどうですか?
親方:元々持っているセンスもあると思うけど、基礎を研修でやっているので吸収力が全然違いました。覚えるのがとにかく早い。作業の流れをわかってきているから、ひと言伝えるだけで次の行程の仕事をしてくれる。教えやすいし、一緒に仕事がしやすいです。
イ:それはすごいですね!道場では技術と日本語も学んだのですね!
谷口さん:そうですね。道場で専門的な言葉も覚えて来たから自分たち職人の言葉が通じるし、日常会話も問題なくなりました。
現場での日本語も困らないぐらいにはなっているのでほとんど理解してくれます。一回教えれば、次はもう覚えていますしね。
研修では集中した時間内で覚えさせて、あとは自分の時間も持てるからそこで他の人との会話を通じて日本語を覚えられます。
仕事しながらだと、仕事も覚えないといけないし日本語も覚えないといけない。どっちから先に覚えたらいいのかとなってしまう。この子たちは日本に稼ぎに来ているから、まず仕事を覚えようとなりますよね。そうすると日本語を覚えないんですよ。
でも入社時の「研修」としてきちんと時間を取ってやれば、両方修得できる。道具の使い方、名前、基礎的なことを覚え、さらに日本語も通じるようになるから『これやっといてね』というだけでズバッと作業してくれる。すごく楽ですよ。
先月道場が一ヵ月休みで研修ができなかったときは、いつから始められるのかもうこちらがうずうずして。『頼むから早く開けてくれ!』と思っていました(笑)
■研修後には即利益の上げられる職人として現場に入れる
イ:では現場で教えていたその1ヶ月の生産性はどうだったのでしょうか?
谷口さん:赤字でしたね。本来連れていく必要のない、人工が足りている現場に連れて行って、最初は雑用しかさせられないから人工がかかるだけでした。3人でいいところに4人いる。人工がかかると利益があがらないので生産性はすごく下がってしまいます。
イ:では研修を受けた社員さんの最初1ヵ月と比べてどうですか。
谷口さん:全然違いますね。初めから利益が出せる動きができます。
トゥンはまだ1年くらいですが、1年しかたっていない子が普通にみんなとやっているというのは通常ではありえません。
イ:教えることがほとんどないということですか?
谷口さん:そうですね。後はパターンくらいかな。
イ:通常の1年目というのはどういったものなのでしょうか
谷口さん:1年目は下塗りくらい。仕上げは普通できません。道場はカリキュラムがしっかり作り込まれているから、帰って来たら即戦力。基礎が出来上がっているから、普通に塗れたんです。すごいことですよ。
2年くらいかかってやっと仕上げができるようなペースです。
イ:例えば先輩のトゥンさんが、もし道場に行ってなかったらどうなっていたでしょうか?
谷口さん:今みたいにできなかったよね。大事な仕事は任せられないから掃除くらいしかさせなかったかもしれない。それってお互いに悪循環です。この子たちは頑張っているのに、出来ないから俺らもきつくなるし、怒られるからこの子たちも楽しくない。
本当にいきなり現場に出すなんて考えられないんです。もう外国からの子が来たらすぐ研修。職人道場の設備環境はかなり整っていて、講師も指導に慣れていて温かい。みんなでバーベキューしたり、勉強以外のことも楽しいんですよ。
ありがとうございました!
現場で覚えればいい、学校で基礎を学ぶなんて意味がないと思われていた谷口社長が、もうなくてはならないと感じている職人道場。わずか一ヵ月の凝縮された時間で、外国人の方々も技術も日本語も学べて、即戦力となるまでに育ちます。
期待と信頼に応えるべく、職人道場は邁進し続けます!
Youtubeでは職人道場の代表小山が自ら日々のリアルな様子や、成長&活躍中の多能工集団Arusについても発信しています!ぜひそちらもご覧ください!