多能工化のメリット。分業から集約へ。
栃木県那須塩原市で建設会社様向けに、即戦力となる職人を育成する場を提供している職人道場です。
未経験の方や多能工を目指す方に、幅広い業種の人材育成に特化した研修場を提供しています!
職人道場は自社の新人教育制度として求人や会社のホームページなどにも掲載することができます。
Youtubeでもお届けしていますが、いま職人道場では多能工集団チームArusが活躍しています。今後より一層求められる「多能工」を現場で実践しています。
ここで多能工がなぜ今それほどまでに求められているのか、現場目線でお伝えしたいと思います。
一人でいろいろできる「多能工」は 高効率・ハイクオリティ
イ:前回のお話しを受けて、企業内部に多能工という事業モデルがなかったことがわかりました。ということは、これまで1人の職人さんが自分で複数の専門職種を身につけ、自分で多能工になるというものだったのですね。
田中:そうですね。多能工の職人さんが地方に多い理由にも繋がります。地方で一件ごとの仕事量がそれほど多くなければ、受注したら色々な工事をとりたい。大工さんがクロスを貼ったり、水回りも設置したりと仕事を取っていって多能工化しています。
それに対して、一都三県は仕事が多く、新築の時代なら人手がたくさん必要だったから分業の方がこれまでは合っていました。ただしこれからのリフォームや修繕という時代に分業はあまり理にかなっていません。
少ない人数のほうが手待ちもないし、全体の生産性が上がります。一人の職人さんで全部を見ることができる方が、現場入って仕事が出来ませんでしたということもないし、打ち合わせの回数も減ります。そして下地から全部自分でクロスを貼るとなったら、そのほうが絶対綺麗になる。「責任施工」です。自分でクロスを貼る前提で下地を作ります。
リフォームや修繕など1つの物件に対して複数業者が同時に入るようなときは、なるべく前後の作業も自分たちでやる方がみんなにとっていい結果が出ます。生産性が上がり工期も短くなる、手間も減る、クオリティも高い。現場だけでなく、お客さんにとっても良いですよね。
作業に入れない!時間のロス
イ:現場に職人さんが行ったらすぐに作業に入れないということがよくあるんですか?それはもったいないですね。
田中:現場監督も複数の現場を担当していて、実際に現場に行けない日もあります。すると情報源は現場の職人さんから上がってくる報告しかありません。「終わりました」と聞いて、次の業者さんを手配すると終わっていなかったというようなこともよく発生します。
イ:コミュニケーションが上手く行かないことが出てくるのですね。
田中:現場に業者が少ないほうが現場監督さんにも良いわけです。打合せする相手が少なくなるので。
大工仕事は本当に専門的なので大工さんにお任せするしかありません。そして電気、水道も専門職で免許も必要だからハードルはあります。しかし、それ以外の仕上げに関しては何社も分けてやることではありません。それ以外の仕上げ、クロス、床貼りなどは全部一人でできたら良いですよね?リフォームは特にそうです。
イ:例えばこれまでその様な仕上げ仕事に関して、どのような職種で分業化されていたのでしょうか?
田中:クロス、床フローリング、キッチン、トイレ、ユニットバス、玄関の石床タイル、左官、などでしょうか。
イ:キッチン、トイレは専門職になりますか?
田中:キッチン、トイレは設備屋さんが多いですね。たとえば、1-2日のトイレ交換の作業に、トイレを外すのに水道屋さん、クロス屋さんが入る、工事に対して現場監督がついて、そしてさらに他の業者さんも入ることになります。
「多能工」職人の強み
イ:「多能工職人の意義」についてはどのようにお考えですか?
田中:私たちは「多能工=変化に強い職人の育成」であると考えています。
いろいろな職種に対応できる「多能工」は仕事が減ってきてもすぐ違う職種に切り替えることができます。でも「専門職」主体の今の建設業だと難しい。そこがいまの建設業が非常に弱い部分だと思っています。
職人の美学を壊せないといいますか。職人の美学は、イチローみたいに「毎日のルーティーンを極める」ってことだと言われてますが、今はそうではなくなってきていると思います。清く正しく、貧しく耐えるのが職人ではないのです。時代は変わってきています。
だから多能工集団というのは変化に強い集団、いつでもチャンスを掴みに行ける集団になるということです。
「多能工」は元請け企業に対する交渉力も持てるようになります。多能工職人は様々な工程、例えば、クロス貼り、左官などいろいろやりますが、なかには安い単価で利益が出にくい商材もあるでしょう。そんな場合でも様々な工程を一括して請け負うことができる「多能工」職人なら違います。交渉力がある。元請け企業に直接交渉できるのです。元請け企業も一括して発注できる「多能工」なら、トータルでの工期も短くなることが期待できますし、結果としてコストも抑えられますので、メリットがあるので単価交渉も受け入れやすい。
利益を出しながら、あれもこれもできるという「多能工」職人をどんどん増やしていきたいと考えています。
多能工化するメリットを業界内部の仕組みから理解できました!
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