職人の給与査定の問題点と、Arusが取り組む「職人の評価基準」
栃木県那須塩原市で建設業の新人教育、即戦力職人を育成している職人道場です。
建設業で働く皆さん、職人の給与査定に疑問を感じたことはありませんか?
■「給料が上がらないから辞めたい」という話を切り出され、これ以上職人が減っては困る会社は給料を上げる
■長く働いてくれているから、なんとなく給料を上げる
■モチベーションの低い職人のやる気を出させるために給料を上げる
ここには明確な給与査定の基準がありません。
これは何も建設業に限った話ではなく、多くの企業で明確な給与査定の基準が設けられていません。
「辞めたい」と言い出した社員が優先的に給料を上げられる。ちょっと変だと思いませんか?
そこには何が起きているのでしょうか。
職人の給与査定の問題点と、職人道場から誕生した多能工集団「Arus」が設ける新しい評価基準について、お話をしていきたいと思います。
人手不足だから「とりあえず」賃金を上げる…?
多くの会社で、社長の独断で社員の給与が決まっています。
建設業でよく聞かれるケースとしては
「給料がなかなか上がらないので辞めます」という職人に、「じゃあこれからもっとこういうこともお願いしていきたいから、日給1000円上げるから頑張ってよ」という具合です。
日給1000円アップというのは25日で25,000円の昇給です。これだけ一気に給与が上がる職業は恐らく珍しい方では無いでしょうか。
またあえて少し厳しい言い方をしますが、やる気が下がって不満を口にした人の給料が上がっているということです。本来、頑張っている人の能力が上がるからそれに伴って給料が上がるのではないでしょうか。
そこを平等にできる全ての基準をしっかり作ってあげることで、やる気のある社員をもっと伸ばすことが出来る!と私たちは考えました。
Arusの評価基準への取り組み
職人道場には、道場から派生してできた多能工集団「Arus」というチームがあります。Arusでは、この給与査定問題に取り組み始めました。
本来、職人は働いている勤続年数以上に、その職人が成し遂げた仕事、身に付いたスキルで評価するべきだというのが私たちの考えです。勤続年数での評価ももちろんありますが、能力給とは別軸に置いています。
多能工にチャレンジしているArusでは、職人たちは現場ごとに色んな作業を任されることになります。それぞれ研修で身に付けた様々な技術を活かしながら現場を進めているわけですが、時折ふと「今自分がどこにいるのかわからななくなる」ということが起こります。
先日、メンバーの一人だけ他のメンバーと違う現場に入ったことがありました。皆は左官の現場に行っているのに自分だけはクロスの現場。「寂しい」という本人の素直な気持ちを打ち明けてくれました。この「寂しい」とは一体何なのか…。
今、自分はどこを目指しているのか。
次のステップは何なのか。
何を覚えれば評価してもらえるのか。
自分の成長が見えていなかったからこそ、出てきた言葉だったのだと痛感しました。
しっかり目標を立ててそこに向かっていれば、「自分は今このスキルを伸ばすために頑張っている」という感覚があるはず。寂しいと思う以上に、評価してもらえる嬉しさ、仕事の楽しさが上回り、本人がやりがいを感じられることがなにより大切です。
この出来事を境に、一つずつ作業項目とスキルを洗い出し、それぞれの評価基準を定めました。チームArusは全員が職人道場の研修を経験しているからこそ、この「合格」を取りに行くことに慣れています。より一層この評価基準が挑戦する楽しさを生み出します。
多種多様にある職業の中でも、技術職である職人こそ、このような「基準」はつくりやすいのです。
職人道場では研修のみならず、ご利用いただいている導入企業様へこの様な実践的なアドバイスやサポートを実施しています。
今回ご紹介した多能工集団チームArusの様子はYoutubeで発信中です!
随時アップしていますのでぜひチェックしてください!