日給？月給？固定給？職人の社会保険とこれからの給料制度
栃木県那須塩原市で、即戦力の職人を育成する「職人道場」です。
未経験者や多能工を目指す方々に向けて、考え抜かれたカリキュラムと実践的な研修環境を提供しています。職人道場の研修は、自社の新人教育制度として求人広告や企業ホームページに掲載することも可能です。
■職人の給与設定――それは単なる「金額の話」ではない。
最近、建設業の社長さんたちから「職人の給与設定」についてよく相談されます。
「日給制のままでいいのか？月給制にするべきか？そもそも社会保険料まで考慮した場合、どうすれば会社を回していけるのか…？」
多くの会社が、この複雑なテーマに悩んでいるのです。
建設業界では、日給制が長くスタンダードでした。人工（にんく）という言葉が示すように「1日いくら」で賃金が決まるシンプルな体系。出た分だけ稼げるので、職人側もやりがいを感じやすい仕組みではありました。
しかし、時代が変わり、社会保険加入が厳格に求められる中で、この「日給制」の仕組みが大きな矛盾を生んでいます。
日給が上がれば上がるほど、会社の社会保険料負担は雪だるま式に増えていく――。例えば、日給がたった1,000円上がっただけでも、月額では25,000円の昇給です。3ヶ月ごとに日給が1,000円ずつ上がれば、半年後には月5万円も負担が増えます。こんな昇給ペースを維持できる会社はどれだけあるでしょうか。
さらに、「いざという時に新しい分野にチャレンジしてほしい！」と多能工化を望んでも、職人が高日給の職種から別の職種に挑戦するのは現実的に厳しいです。給与が下がるのなら、やる気が出ないのは当然です。
■「日給1000円上げる」は職人の首を締めてしまう！？
さらに、長く働いてくれているからと、日給を1000円ずつ上げていって例えば左官を長くやって1万5000円に到達したとします。これからリフォームの現場が増えていき、多能工が求められる時代になってくるという時代で、1日1万5000円の職人がゼロから新しい職種にチャレンジした場合、会社はどうなってしまうのでしょうか。
一度上げてしまった給与をなかなか下げることはできません。職人本人も給与が下がってまで別の職種に挑戦しようとは思わないでしょう。1万5000円払って全く利益が取れなければ、会社にとっても相当な負担になります。
すると、それまで極めてきたその職種の仕事しか結局の所できなくなってしまうのです。
■固定給の「評価制度」が未来を切り拓く。
では、月給制に切り替えれば良いのか――。
実際には固定給に反対する職人も多いです。「稼げる方が良い！」と思うのは自然な感情。しかし一方で、長い目で見た時に「安定」を選ぶ若手の職人もいます。だからこそ、社長さんが見せるべきは「未来の選択肢」です。
例えば、月給制に移行する場合でも「この技術が身についたら月給○千円アップ」と明確な基準をつくる。左官を覚え、クロスを覚えたら…といった多能工化に応じてステップアップが描ける仕組みです。
これなら、職人本人も「次はあれを覚えよう」とやる気を出せます。日給制の「出たら出ただけ」の世界とは別の、将来に繋がるビジョンを描けるのです。
■職人の社会保険――「仕方ない」では終わらない本質的な課題。
「社会保険料が高すぎる」「手取りが減るから嫌だ」
職人さんの本音を無視するわけにはいきません。
でも、そもそも社会保険は「仕事の安定」や「将来への投資」でもあるのです。会社がどう説明するか、どう制度を整えるか、ここに「職人の将来」がかかっています。
会社の財務負担、職人の生活の安定、若手のやる気――。この3つのバランスを取るのは一筋縄ではいかないからこそ、会社ごとの知恵が問われます。
■新人を「育てたい会社」がやるべきこと。
「新人のやる気を引き出すには？」「社会保険負担をどうクリアするか？」
それは「お金」の話だけではなく、「どういう職場にしていくか」という会社の覚悟です。
例えば、固定給制を新たに導入するなら、まずはこれから入る新人から始めるのも現実的です。既存の職人さんには日給制を残す。そんな柔軟なやり方を選ぶ企業もあります。
また、何より大事なのは、新人が研修で学び現場に出た後の「フォロー体制」です。職人道場の研修では、技術面の基礎はもちろん「人としての在り方」や「職場のコミュニケーション」まで育てます。だからこそ、帰ってからの現場でも先輩たちが声をかけやすい雰囲気をつくれる。結果的に、新人のやる気が持続し、会社にとっても強い戦力になるのです。
■「自分の会社でどうするか？」を一緒に考えましょう。
矛盾だらけの建設業界。職人道場は、その矛盾を無視するのではなく、どう向き合うかを真剣に考える社長さんの力になりたいのです。
「どうしたら社会保険に対応できるのか？」「どうしたら若手が辞めずに育つのか？」
どんな小さな相談でも、遠慮なくお声がけください。
職人道場は、職人の技術だけでなく「会社を未来へ繋ぐ人材育成」を支えます。
悩んでいる全国の建設業中小企業の皆様、ご相談はぜひお気軽にご連絡ください。
この記事の作成者 職人道場運営責任者 本井 武
「職人不足の時代に、技術を未来へ繋ぐために」
建設業界は今、深刻な人材不足に直面しています。このままでは、長年受け継がれてきた職人の技術や、業界を支えてきた技術会社が消えてしまうかもしれません。私たちは、職人不足の課題に正面から向き合い、企業の未来を守るために職人道場を広める活動を続けています。単なる研修ではなく、職人の魂を継承し、企業の経営を支えるための取り組みです。
日々の営業活動の中で、社長の皆様が抱える不安や悩みに寄り添い、最適な提案をお届けしたい。そして、ただ職人を育てるのではなく、会社の未来を創る力を共に育みたい。日本の建設業を支えてきた技術を、次の世代へ。共にこの業界の未来を守り、職人不足を乗り越えていきませんか？私たちは、建設業の未来のために、共に戦い続けます。
